買い物を終えて帰宅した、いつもと変わらない夕方。玄関の前でバッグから鍵を取り出し、鍵穴に差し込もうとした瞬間、私は手を止めました。「あれ…?」ドアノブに手をかけると、そのままガチャリ。鍵が開いていたのです。家を出る時に確かに閉めたはず。でも、もし誰かが家の中にいたら…。隣にいる子どもを見た瞬間、一気に怖くなりました。
閉めたはずの鍵が開いている…

その日は小学生の子どもと二人で買い物へ出かけていました。出かける前に玄関の鍵を閉めた記憶はあります。いつもの癖で、ドアノブをガチャガチャと引いて確認した…はず。
なのに、鍵が開いている。
「ママ、入らないの?」
不思議そうな顔で私を見上げる子どもに、「ちょっと待って」と答えながら、頭の中では最悪の状況を想像していました。空き巣?それとも、誰かが中にいる?
玄関の向こうはいつもと変わらず静かです。その静けさが、逆に怖く感じました。
そっとドアを少しだけ開けてみると、玄関には家を出たときと同じように靴が並んでいます。目に見える範囲では、荒らされた様子もありません。
「やっぱり私が閉め忘れたのかな」一瞬そう思いました。
でも、もし奥の部屋に誰かがいたら?そう考えた途端、さっきまで何とも思わなかった家の中の暗さまで不気味に見えてきます。
自分一人なら、恐る恐る中を確認していたかもしれません。でも今日は子どもが一緒。万が一のことを考えると、連れて入るわけにはいきません。私は開けかけたドアを静かに閉め、子どもの手を握りました。
「もしかして誰かいる?」不安が止まらない

少し離れた場所まで移動して、まず夫に電話しました。
「家の鍵が開いてるんだけど…」私の声がいつもと違ったのか、夫も一瞬黙ります。
「え?閉め忘れたんじゃない?」
「いや、絶対閉めたと思う。でも自信なくなってきた…」
そう言いながらも、心臓はバクバク。子どもまで不安そうな表情になり、「泥棒さんがいるの?」と小さな声で聞いてきます。
「分からないから、ここで待ってよう」
平静を装って答えましたが、頭の中はまったく平静ではありません。買い物に出ていたのは、ほんの1時間ほど。その間に誰かが入ったのだろうか。窓は閉めていたはず。玄関から入ったのなら、どうやって?考え始めると、どんどん怖い想像ばかりが膨らんでいきます。
警察に相談したほうがいい?でも、ただの閉め忘れだったら?スマホを握る手にも力が入りました。そんなことを考えながら夫と話していると、ふと彼が言いました。
「そういえば今日、俺、一回家に帰ったわ」
犯人はまさかの…夫だった

「…え?」
一瞬、言葉の意味が理解できませんでした。話を聞くと、夫は仕事の途中で忘れ物に気づき、一度自宅へ戻っていたというのです。そして必要なものを取って急いで仕事へ戻ったため、出るときに鍵をかけ忘れたらしい。
「ごめん。俺だわ」申し訳なさそうな夫の声を聞いた瞬間、全身から一気に力が抜けました。
「ちょっと!本当に怖かったんだけど!」
さっきまで必死に小声で話していたのに、安心した途端、思わず声が大きくなります。
「いや、本当にごめん。完全に忘れてた」電話の向こうで平謝りする夫。隣では、それまで不安そうだった子どもが、「じゃあ、パパが泥棒さんだったの?」と真顔でひと言。
その言葉に、さっきまでの恐怖が吹き飛び、思わず笑ってしまいました。もちろん泥棒ではありません。でも、私たちを30分近く震え上がらせた犯人という意味では、あながち間違っていない気もしました。
家に入ってからも念のため各部屋を確認しましたが、もちろん異常なし。いつものリビングを見た瞬間、ようやく「本当に何もなくてよかった」と心からホッとしました。
怖いときこそ「たぶん大丈夫」で動かない
今回は夫の鍵のかけ忘れという、拍子抜けするような結末でした。でも、もし本当に誰かが侵入していたらと思うと、今でもゾッとします。
あのとき、「気のせいかな」「私が忘れただけかも」と子どもを連れてそのまま家に入らなくてよかった。何もなかったからこそ笑い話にできますが、違和感を覚えたときに慎重になることは決して大げさではないと感じました。
特に子どもと一緒にいるときは、自分だけの安全を考えればいいわけではありません。「考えすぎかな」と思っても、一度安全な場所へ移動して確認する。そのくらい慎重でもいいのだと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/Happymam)





