初めての妊娠で、食べづわりと吐きづわりに苦しんだ私。つわりが落ち着き、久しぶりの妊婦健診で目にしたのは、つわりで体調の悪そうな妊婦さんの衝撃的な行動でした。「非常識では!?」と思う一方で、私が最後まで何も言えなかった理由とは…。
終わりの見えないつわりとの闘い

初めての子どもを妊娠した私。妊娠が分かってしばらくすると、つわりが始まりました。
私は、何か食べていないと気持ち悪くなる「食べづわり」と、食べても吐いてしまう「吐きづわり」を併発していました。常に吐き気と戦い、泣きながら食べたくもないものを口に運ぶ毎日。少しでも気持ちが楽になればと思い、同じ出産予定月の妊婦さんが集まるSNSを始めることに。
「毎日トマトだけで生き延びてる…」
「ご飯のにおいが無理!」
「日ごとに食べられるものが変わる…」
そんな投稿を見て、「みんな頑張ってるんだ。私も頑張ろう」と弱り切った自分を励ましていました。3カ月ほど経ち、ようやくつわりも落ち着き、安定期に突入。久しぶりに気持ちが軽くなった私は、妊婦健診へ向かいました。
「え!?何してるの!?」待合室で目にした衝撃的な光景
その日、いつも20人程いる待合室は珍しく空いていて、5、6人ほどしかいませんでした。ふと見ると、端の席にマタニティーマークを付けた、いかにも体調が悪そうな妊婦さんが座っています。
「きっとつわりなんだろうな…」
少し前までの自分と重なり、「早く楽になるといいな」と思いながら見ていました。
ところが次の瞬間、その妊婦さんはバッグからビニール袋を取り出し、中に入っていた納豆パックを開封。 なんと割り箸でかき混ぜ始めたのです。
「え?納豆!?」
そう思っていたら、その妊婦さんは何事もないかのように待合室で納豆を食べ始めました。
注意すべき?それとも仕方ない?

その様子に気が付いているのは、私以外にいないようでした。衝撃的な行動に固まりつつ、頭の中では様々な思いが渦巻きます。
「病院の待合室で納豆は、さすがに非常識じゃない?」
そう思う一方で、別の考えも浮かびます。
「もしかしたら、この人は納豆しか食べられないのかもしれない」
実際、SNSでも特定の食べ物しか口にできない妊婦さんを何人も見てきました。でも、もしその場に納豆のにおいで吐いてしまう妊婦さんがいたら…。
受付へ伝えるべきか迷いましたが、病院の外は危険なほどの猛暑。あれほど体調の悪そうな妊婦さんを外へ出すこともできず、結局私は何も言えませんでした。
今でも忘れられない理由

その後、私は無事に出産し、今は育児に追われる毎日です。街で妊婦さんを見かけるたび、ときどきあの日の出来事を思い出します。
つわりを経験する前の私なら、「待合室で納豆なんてありえない」と迷わず批判していたでしょう。でも、つわりや妊娠の過酷さを知った今は、簡単にそう言い切ることができません。
もちろん、周囲への配慮は必要だったと思います。それでもあの日の出来事は、「非常識だ」と一言で片付けられない、今でも忘れられない出来事として私の心に残っています。
(ファンファン福岡公式ライター/藤瀬りか)





