大掃除の最中、息子のおもちゃを勝手に処分した夫。涙を流して悲しむ息子と、気まずそうに下を向いている夫。その直後、わが家のリビングで誰も予想しなかった「衝撃の出来事」が起こります。家族全員が固まった、その理由とは?
息子の宝物だった「ゴッドハンド」

当時、小学校低学年だった息子には、大好きなサッカーアニメがありました。そのアニメの主人公が使う大技を模した「ゴッドハンド」という名前の空気ビニール玩具を、息子は本当に大切にしていたのです。
手に装着して遊ぶそのおもちゃは、空気を入れて膨らませると大人の手よりもずっと大きく、迫力満点でした。息子にとっては単なるおもちゃではなく、自分がヒーローになれる特別なアイテムだったのです。ですが、時が経つにつれて遊ぶ頻度は減り、いつしか押し入れの奥へとしまわれていました。
「邪魔だから」とカッターを握った夫
ある日、私と夫は家の中をすっきりさせようと、押し入れの大掃除を始めていました。 奥から久しぶりに例の「ゴッドハンド」が出てきたとき、夫がボソッと呟いたのです。
「これ、膨らんだままだと場所を取るし邪魔だな。捨てるか!」
そう言うと夫は、息子の許可も取らないまま、持ってきたカッターで躊躇なくおもちゃを切り裂いてしまいました。 息子の許可もなくそんなことをしても大丈夫なのだろうか、と私は強い困惑と胸騒ぎを覚えました。
近所の公園から帰ってきた息子に「ごめんね、お父さんがゴットハンドを処分したよ」と伝えると、息子は言葉を失いました。
そして次の瞬間、ぽろぽろと大粒の涙を流しながら、私にすがりついて泣き出してしまったのです。 私たちが「もう使っていないから」と勝手に思い込んでいた以上に、息子にとってそのおもちゃは思い出の詰まった大切な宝物だったのです。
気まずい空気の中、部屋に乱入してきた“アイツ”

黙って息子のおもちゃを処分した夫は、息子の涙を見て流石に申し訳ないと思ったようでした。でも、カッターで切り裂いてしまった以上、やってしまったことはもう取り返しがつきません。部屋の中には、気まずい空気と息子の鳴き声だけが響いていました。
事件が起きたのは、まさにその直後のことです。気が付いたら一匹のミツバチがスーッと部屋に入ってきていました。
そして、一直線に夫のもとへ飛んでいくと、カッターを握りしめて息子の宝物を切り裂いた、まさにその「右の手のひら」のど真ん中をブスリと突き刺したのです!
「痛っ! なんだこれ!?」 静かな部屋に夫の絶叫が響き渡りました。見ると、刺された場所がみるみるうちに赤く大きく腫れ上がっていきます。
激痛に悶絶する夫の手のひらを、涙を拭った息子と私の三人で見つめながら、私は思わずこう呟いていました。 「…お父さんに、天罰が下ったね」
夫は腫れ上がった右手を押さえながら、息子に向かって「勝手に処分してごめんなさい」と頭を下げたのです。
父親として、子供に自分の非を認めて謝るというのは、なかなかバツが悪いものかもしれません。ですが、この信じられないタイミングで蜂に刺されたことで、夫も「やってはいけないことをしてしまった」と素直に悟ったようでした。
痛い教訓を経て、わが家に生まれたルール

あの衝撃的な「天罰」から長い月日が経ちました。当時は夫の手が大変なことになって騒ぎになりましたが、あの出来事のおかげで、わが家にはひとつ大切なルールが自然と生まれました。
それは、どんなに小さなおもちゃであっても、どれだけ長く使っていないものであっても、何かを処分するときは必ず「持ち主本人の承諾を得てからにする」ということです。
親の勝手な都合で子供のモノを捨ててはいけないという当たり前のことを、まさかの形で教えられた我が家。家族みんなで「モノと持ち主への思いやり」を再確認した、忘れられない教訓となっています。
(ファンファン福岡公式ライター/hitoyume)





