勤め先のスーパーで万引きに遭遇したときのことです。鮮やかな手口にあ然としていた私たち店員が万引き犯に声をかけようとした瞬間、さっそうとスーパーヒーローが現れました。
突然の店長からの呼び出し

スーパーで品出しの仕事をしていたある日、私と同じ品出しのパートさんたちが店長室に呼ばれました。
何事かと思いながら店長室に入ると、店長が防犯カメラのモニターを見ていました。
「最近万引きするオバサンがいてね、結構大胆で困ってるんだよ」と、防犯カメラの録画を見せてきました。
そこに映るのは50代〜60代の女性、一見普通の主婦に見えます。
「もしこの人が来店したらすぐ教えて」と店長が言いました。
そんな話を聞いた翌日、私はさっそく例の万引きオバサンに遭遇してしまったのです。
ぎょっとしながらも、同じ通路で品出しをしていたパートさんに目配せをし、小声で
「店長呼んできて」と伝えました。
パートさんはすぐに店長を呼びに行き、私は万引きオバサンの監視役に徹することにしました。
絶対に捕まえてやると、鼻息を荒くして通路越しに睨みつけます。万引きおばさんはエコバッグを片手にカートを押しながらゆっくりと買い物をしています。
犯行の現場を目撃!追いかける私

しばらくすると、万引きおばさんはフラフラと商品を手に取ったり置いたりを繰り返し始めました。
そして、コーヒー売り場へ移動し、インスタントコーヒーをサッと手に取ります。流れるように隣の通路に移ったので、私もすかさずついていきます。
するとなんということでしょう、今の今まで手に持っていたコーヒーがありません。
「もう盗られた?!」あまりの手際の良さに私は驚きを隠せませんでした。
恐らくエコバッグに入っているのでしょうが、確実ではないのでまたしばらく監視します。
次はお菓子コーナーで飴を手に取り、去り際にエコバッグに入れました。今度はしっかりと犯行を目撃。
「捕まえるっていってもどうするんだっけ?!店を出るまで待つ?すぐ声をかける?」と、いざ万引きに遭遇するとパニック。
まず引き留めようと、おばさんに声をかけようとした時です。
後ろから誰かに肩を掴まれました。振り返ると店長が
「声はかけないで。店を出るまで見守ろう」
小さい声で私に指示を出すと、二手に分かれ万引きの一部始終を確認しました。
万引きオバサンは慣れた手つきで商品を次々と手に取り、お酒の小瓶まで入れる始末です。
その間押しているカートに商品を入れ買い物中を装ったり、知り合いらしき人と話し込んだりと涼しい顔。私は怒りに満ちながらもグッと堪え、静かに後ろをついていきます。
万引きGメン登場!

私はそのまま監視を続けます。万引きオバサンはカートの商品を会計しましたが、エコバッグは手にかかったままな事を確認しました。
もう店を出るというときに店長が見当たらず、慌てて呼びに行こうとした時でした。
「ちょっと奥さん」と、Tシャツにジーンズ姿の男性が万引きおばさんに声をかけました。
「まさか!この人は!」
私は足を止めて様子を見つめます。
「え!今日来てくれる日だったのか」と、後ろから店長がぜーぜー息を切らしながらやってきました。
話を聞くと、ジーンズの男性は万引きGメンでした。
万引きGメンは元々月に一度、お店の巡回に来てくれています。そしてちょうど今日がその日だったようで、万引きおばさんをしっかりと捕まえたのです。
「そのバッグの中お会計終わってないものあるよね?」
Gメンの淡々とした声に、万引きおばさんは俯いたまま
「…はい」と呟きました。
「はい、一緒に来てくださいね」と万引きおばさんを同行させ、店長と店長室へと入っていきました。
万引きオバサンは常習犯だったこともあり、警察がやってきてパトカーで連れて行かれました。
Gメンが万引きおばさんを見張っていたなんて、近くにいた私たち店員でさえも気づかないほどでした。彼はさながらお店の治安を守るスーパーヒーローでした。
(ファンファン福岡公式ライター/「もずく」)





