スーパーで見かけたベビーカーを押す若いお母さんと3歳くらいの子ども。子どもが商品を落とし、親の怒号が店内に響きます。その時、見知らぬマダムたちが助けの手を差し伸べ…。傍観者の私は、その場面から「子育ては一人で抱え込むものではない」ということに気づかされました。
余裕がある今だから見えたこと

スーパーで買い物をしていた時、1歳くらいの子をベビーカーに乗せ、3歳くらいの子の手を引くお母さんを見かけました。その時の私は少し余裕があり、「大変そうだな」とどこか距離を置いて見ていました。
でも同時に思い出していたんです。1歳と3歳を連れて買い物していた頃の自分を。焦りや、「迷惑をかけてはいけない」という気持ちでいっぱいだったあの頃を。
イチゴ売り場で起きたこと

3歳の子は手を離し、どんどん先へ行ってしまいます。最初は優しく「手をつないでね」と声をかけていたお母さんも、「待って!」「行かないで!」と、だんだん強い口調に変わっていきました。
その変化が、当時の自分と重なりました。周りの目を気にして、失敗させないように必死で、余裕がなくなっていくあの感覚。
そして、イチゴ売り場でその瞬間は起きました。子どもが手を伸ばした拍子に、イチゴのパックがいくつも床に落ちました。
「こら!何やってるの!」焦りと怒りが混ざった声とともに、手を軽く叩く音。3歳の子はびっくりして、大きな声で泣き出しました。
お母さんは「すみません、すみません…全部買い取ります」と、店員さんに何度も頭を下げていました。
その時です。近くにいた買い物中の女性たちが、何も言わずにしゃがんで、落ちたイチゴのパックを拾い始めたのです。そして、ぽつりぽつりと声をかけました。
「大丈夫よ、気にしなくていいからね」
「うちもね、こんなことしょっちゅうだったよ」
その空気は、「責める」ではなく「わかるよ」というものでした。さらにもう一人が、泣いている子どもに目線を合わせて、
「びっくりしちゃったね。でも大丈夫だよ」と優しく声をかけました。子どもは少しずつ泣き止み、小さくうなずきました。気づけば、落ちたイチゴのパックはそれぞれのかごに入れられていました。「ちょうど買おうと思ってたのよ」と、女性たちはそれぞれ自然に会計へ向かっていきました。そのやり取りは、驚くほどさりげなくて、あたたかいものでした。
一人で抱えなくてもいい

私はずっと、「迷惑をかけてはいけない」と思いながら子育てをしてきました。もちろんそれも大切なことです。でもあの場面を見て、少し考えが変わりました。世の中には、「大丈夫」と受け止めてくれる人もいる。完璧にやろうとしなくてもいいのかもしれない。謝ることや、助けてもらうことも、子どもに見せていい姿なのかもしれません。あのイチゴ売り場での出来事は「子育ては一人で抱えこまないでいい」ということを私に教えてくれました。
(ファンファン福岡公式ライター/irone)





