楽しい反面、難しいことも多い子連れのファミレス。休日のランチタイムに号泣する隣の席の赤ちゃんの声で張り詰めた空気になる中…息子がポツリと放った言葉が、不思議なくらいに場の空気を変えました。
子どもたちとファミレスへ

休日のお昼前。4歳の息子と8歳の娘と私の3人でファミレスに入りました。まだお昼のピークには早かったですが、店内は家族連れやカップルなどでにぎわっていました。
食べ物を運ぶロボットの音。ドリンクバーへ向かう子どもたちの声。あちこちから聞こえる楽しそうな会話。店内はいつも通りの、少し騒がしくてにぎやかな音で溢れていました。
店内に響く赤ちゃんの泣き声

そんな平和な空気の中、
「うわあぁぁぁん!」穏やかな雰囲気を切り裂くような赤ちゃんの泣き声が響きました。
目をやると隣の席の赤ちゃんが大泣きしています。ママさんは焦った様子で赤ちゃんを抱っこして「どうしたの?寝てていいんだよ〜」と体を揺らしていました。どうやら眠りから覚めた赤ちゃんの機嫌が悪く、大泣きしているようです。
必死になだめるママさん。顔を真っ赤にして全力で泣く赤ちゃん。
おもちゃを見せたり、お水を飲ませようとしてもダメ。「ごめん、ごめん、大丈夫、大丈夫」となだめますが、赤ちゃんの泣き声は小さくなるどころかどんどん大きくなっていきます。席にはママさんと赤ちゃんと、2歳くらいの女の子の3人だけです。
そしてどこからともなく聞こえてくる「…チッ」「うるさ」という小さな不満と迷惑そうな視線。そんな光景を見ながら「うちの子どもたちが小さい頃も、何度あっただろう」と思いだしていました。
焦りと申し訳なさで、「すいません、すいません」と退店した苦い経験。楽しむために来たはずのファミレスで、急いでご飯をかき込んで、味も分からないまま店を出る。私は内心「お母さんしんどいだろうな。力になってあげられたらな」と気にしていました。「でも、いきなり話しかけられても驚いちゃうかな」と悶々としていたときです。
息子のひと言に思わずほっこり

「…へいわだなぁ」
黙々とポテトを食べていた息子がつぶやきました。「…え?」聞き間違えたかと思いました。思わず「え、なに?」と息子に聞くと、息子は真顔でこう続けました。
「えー?だって赤ちゃん泣いてるし、今お腹いっぱいだし、みんなご飯食べてるし」
そして少し考えてから、
「なんか、普通ってかんじー」
と言いました。
思わず吹き出す私。娘は「息子くん、何言ってんの?」とポカンとした顔。そして周囲にも息子の声が聞こえたようで、「…くっくっくっ」と控えめな声に続いて、「あははっ」「サイコー!」と大きな笑い声が聞こえました。
娘の言う通り「息子よ、何言ってるの?」です。どこからこの発想が出てきたのかわかりません。でも一気に周りの空気が柔らかくなりました。
「すみません、うちの子が…」とママさんに向かって言うと、「いえいえ!」とちょっと笑顔になったママさん。気づくと赤ちゃんは泣き疲れたのか、再び眠りはじめました。
「大変ですよね、わかります、ホントわかります」と私は言葉を絞り出し、「ホントお疲れさまです」と精一杯の頑張れを伝えました。
息子よ、君もそうだったんだ
帰り道。娘が聞いてきました。
「私が小さいときもあんな感じだった?」
私は即答しました。
「いや、もっとすごかった」
今度は息子が笑いながら聞きました。
「息子くんは?」
私はさらに即答して、
「もっっっとすごかった」と返し、2人は目をまん丸くしていました。
ファミレスで大泣きして、スーパーの床で転がって、公園で発狂していたことが思い出されます。当時は必至でも、今ではもう笑い話です。あのママさんにもいつかそう思える日がくるといいなと思いました。
ファミレスで大泣きの赤ちゃんに発した、息子の「普通」な一言。神対応というには大げさかもしれません。けれど赤ちゃんが泣く状況を迷惑と思う人もいる中、一言であの場を「普通なこと」に変えてしまった息子の言葉は妙に説得力があったように感じました。
(ファンファン福岡公式ライター/K)





