娘と公園で遊んでいた時、よその子どもが娘のおもちゃを壊してしまいました。しかし、相手の親は「子どもだから仕方ない」と言うだけで謝る様子はありません。どうすればいいのか戸惑っていると、近くにいた別の子どもの保護者の方が声をかけてくれたのです。
お気に入りのおもちゃをもって公園へ

娘が2歳だったころ。
天気がいい日に娘と近所の公園へ遊びに行きました。娘はお気に入りの砂場セットを準備して、家を出る前から大はしゃぎ。
公園へ着くと、さっそく砂場で遊び始めました。型抜きで動物を作ったり、スコップで穴を掘ったり、夢中になって遊ぶ娘を私は少し離れたベンチから見守っていました。
休日ということもあり、公園にはたくさんの親子がいました。子ども同士が自然と一緒に遊び始めるのも、公園ではよくある光景です。
娘のところにも同じくらいの年齢の男の子がやってきて、一緒に砂遊びを始めました。最初は仲よく遊んでいたので、私も安心して様子を見ていました。
突然壊されたおもちゃ

しばらくすると、その男の子が娘の持っていた砂場用のおもちゃを手に取りました。娘は特に嫌がる様子もなく貸してあげていたので、「仲良く遊んでいるな」と思っていた矢先。男の子は突然、おもちゃを地面に何度もたたきつけ始めたのです。
「えっ!」と思った瞬間、「バキッ」という音がして、おもちゃの持ち手が折れてしまいました。
それを見た娘は壊れたおもちゃを指さしてわんわんと泣き出してしまい、私は急いで娘のもとへ向かい、娘を抱き上げました。
男の子のお母さんも近くにいました。しかし、そのお母さんは壊れたおもちゃを見るなり、
「あらあら」と笑っただけでした。そして続けて、
「子どもだから仕方ないよね」
そう言ったのです。男の子に注意することもなく、私たちへの謝罪もしませんでした。私は言葉が出ませんでした。
確かに小さな子どものしたことです。わざとではなかったのかもしれません。でも、だからといって何もなかったことにはできません。泣いている娘を見ながら、私はモヤモヤした気持ちになりました。
とはいえ、公園で見知らぬ人ともめるのも避けたい。なんと言えばいいのかわからず、私はその場で立ち尽くしてしまいました。
様子を見ていた見知らぬ保護者の一言
その時です。
近くで遊んでいた別の子どもの保護者の方が、静かにこちらへ近づいて来たのです。その方は相手のお母さんに向かって、穏やかな口調でこう言いました。
「もちろん子ども同士だから、こういうことはありますよね」
言われた相手のお母さんも、
「そうなんです。子どもですから」と返しました。
するとその保護者は続けて、
「でも、子どもだからこそ、大人が『ごめんね』って伝える姿を見せることは大切だと思いますよ」
責めるような言い方ではなく、落ち着いた口調で、あくまで子どものためという伝え方でした。
その言葉を聞いた相手のお母さんは、少し気まずそうな表情になりました。そしてようやく男の子に、
「おもちゃ壊しちゃったね。ごめんなさいしよう」と声をかけました。
男の子は小さな声で、
「ごめんなさい」と言い、お母さんも
「すみませんでした」と私に頭を下げてくれました。
私はその一言だけで、心のモヤモヤがすっと軽くなりました。壊れたおもちゃは戻りません。でも、誠意ある対応があるだけで、受け取る気持ちは大きく違うのだと感じました。
親の姿を見て子どもは育つ

帰り道、娘は壊れたおもちゃを大事そうに抱えながら歩いていました。
「また新しいの買おうね」
そう声をかけると、
「うん」と笑顔を見せてくれました。
この日の出来事で私が一番印象に残ったのは、おもちゃが壊れたことではありません。見知らぬ保護者の方が、相手を責めることもなく穏やかに「親として大切な姿勢」を伝えてくれたことでした。
子ども同士のトラブルは、これから先もきっと何度もあります。だからこそ、親が「子どもだから仕方ない」で終わらせるのではなく、そのトラブルとどう向き合うかが大切だと思います。
親が素直に謝る姿を見せれば、子どもも自然と「悪いことをしたら謝る」ということを学んでいくはずです。
私自身も、もし逆の立場になったら、言い訳をする前にきちんと謝れる親でありたいと思っています。
(ファンファン福岡公式ライター/言ノ葉 えり)





