駅前の混雑するコンビニでのことです。隣のレジに並んだおばちゃんが「私これ1個だから先に会計して」と前に並んだお客さんに交渉している光景を目撃。「本当にいるんだ…」と他人事のように見ていた私ですが、おばちゃんとばっちり目があったせいで災難が降りかかってきました。
駅前のコンビニにできた長蛇の列で見たもの

午前中に用事を済ませて自宅の最寄り駅まで帰ってきたときのこと。まだお昼ご飯を食べていなかったので、駅前のコンビニで買って帰ることにしました。
そのコンビニは、時間帯によっては混雑することが多く、この日も2つあるレジにそれぞれ7~8人が並んでいました。コンビニにしてはなかなかの長蛇の列。
急いでいるわけでもなかった私は、パンとジュースを持って列の最後尾に並びました。順番を待ちながらふと隣のレジの列を見ると、とんでもない光景を目にすることになったのです。
隣のレジも長蛇の列で、誰もがおとなしく順番を待っているところへ、お茶を1本だけ持ったおばちゃんが現れ、列の2番目に並んでいる人に話しかけたのです。
「私これ一つだけだから、先にいい?」
堂々と列に割り込もうとしたのです。
もちろん、声をかけられた人はキッパリと拒否。しかしおばちゃんは諦める様子もなく、断られても次から次へと別の人に声をかけ続けています。
(本当にこんな人いるんだ…)
私はまるでテレビの再現ドラマでも見ているかのように、どこか他人事としてその光景を眺めていました。
他人事から自分事に!

おばちゃんを横目で見ていると、ようやく私のお会計の番がやってきました。
(おとなしく並んでいれば、すぐにお会計できていただろうに…)と、余計なことを考えてしまいました。相変わらず次々に頼んでいるおばちゃんを、なんとなく見てしまったのです。
次の瞬間、おばちゃんとばっちり目が合ってしまいました。ヤバッ!と思って慌てて目を逸らそうとしましたが時すでに遅し。おばちゃんは
「久しぶりじゃない〜!」とすごい勢いで私に向かって歩いてくるではありませんか。
とまどう私をよそに、断る隙すら与えない完璧な演技で「これ、一緒にお願いね〜!」とお茶をレジにポンと置き、そのままトイレへ行ってしまったのです。
自然すぎる流れに抵抗もできず、見知らぬおばちゃんのお茶を一緒に会計する羽目に…。
レジ担当の店員さんにはいやそうな顔をされ、周りのお客さんからは知り合いの割り込みを許したと思われているのがわかります。
突き刺さるような痛い視線を全身に浴びながら、仕方なくお会計を済ませたのでした。
わが道を行くおばちゃんの最強メンタル

お会計を終えた私はコンビニの外に出ました。そこでおばちゃんが出てくるのを待ちます。冷静になればなるほど怒りがこみ上げてきました。
ほどなくして、おばちゃんは
「トイレも混んでいて嫌ね〜」とスッキリした顔で出てきました。
「ありがとう〜助かっちゃった♪」と悪びれる様子もないおばちゃんにイラッとしながら、私はお茶を手渡し、金額を伝えました。
おばちゃんのお会計は168円。するとおばちゃんは
「おつりは取っといて〜」と、悪びれもせず200円を渡してきたのです。
しかし私は、そのまま立ち去ろうとするおばちゃんを引き留め、
「私は知り合いでもありませんし、皆さんちゃんと並んでるんですよ!」
そう言って、おつり分の32円を渡しました。
少しは反省してほしい一心で放った私の言葉は、都市伝説級のメンタルを持つおばちゃんには一切響きませんでした。
「そんなに怒らないでよ〜!人助けだと思って♪」
そう言うと、おばちゃんはカバンから“飴ちゃん”を取り出し、私の手のひらにぽんと載せます。開いた口が塞がらないとは、まさにこのことです。
私の言葉などどこ吹く風で、おばちゃんは機嫌よく手を振りながら去っていきました。私は呆然と見つめることしかできませんでした。一人取り残された私の手には、おばちゃんからもらった飴ちゃん。まさか捨てるわけにもいかず、あとで食べると、とてもおいしかったことを覚えています。
(ファンファン福岡公式ライター/すぅ)





