毎年多くの人でにぎわう地域のお祭り。しかし、「俺は幹部だ」と威張り散らす実行委員の横暴な態度に、ボランティアや子どもたちは我慢を重ねていました。さらに、緊急車両用スペースへの無断駐車が思わぬ事態を招き、ついに町内会や住民の怒りが爆発。お祭りから退場することになりました。
町内会のお祭りは地域でつくる、みんなの楽しみ

私が暮らす町では、毎年夏になると大きなお祭りが開かれます。子ども神輿や屋台、盆踊り、打ち上げ花火。町中が笑顔になる一年で一番楽しみなイベントです。
私は実行委員の一人としてボランティアに参加しています。しかし、一人だけ厄介な人物がいるのです。実行委員のDさんという60代の男性です。
「俺は祭りの幹部だぞ」
口癖のように使うこの言葉を盾に、誰にでも威張り散らし、若いボランティアには、「そんなこともできないのか!」と怒鳴るので、過去に何人も辞めてしまった人がいました。
一方で、自分は日陰のテントで飲み物を飲みながら指示を出すだけで、何か頼まれても「幹部は指示するのが仕事だ」と笑って何もしません。
歴代の町内会長も困っていたようですが、「昔から祭りに関わっている人だから…」と誰も強く言えずにいました。
子どもがいてもお構いなしの横柄な態度

祭り前日、小学生たちが神輿の練習を始めました。そこへDさんがやって来て開口一番。
「おい、その神輿はもっと右!」
先生が「子どもたちが安全に歩ける位置で練習しています」と説明しても、「俺の言うことを聞け!」と怒鳴ります。先生を頭ごなしに怒鳴りつける姿に泣き出してしまう子までいて、見かねた保護者が注意すると、「文句があるなら祭りに来るな」と言い放つ始末。その場の空気が凍ったのは言うまでもありません。
急病人発生で呼んだ救急車が立ち往生!原因は…
そして、祭り当日。会場は大賑わいでした。私は交通整理を担当していたのですが、そこへDさんが自家用車でやって来ました。本来、会場近くは緊急車両用スペースで、一般車は進入禁止です。
嫌々ながら私は声をかけました。
「そこは停められません」
するとDさんは鼻で笑い、「俺は幹部」とだけ一言。
「ですが、救急車が入る通路です」「俺に指図するな!」
そして、そのまま車を停めてどこかへ行ってしまいました。
ところが、その数時間後のことです。盆踊り会場で高齢の男性が体調を崩し、救急車を要請しました。サイレンを鳴らして救急車が到着するものの、道路にはDさんの車。
救急車は立ち往生し周囲は騒然となる。
「車の持ち主は誰ですか!」
会長の電話で状況を知ったDさんがだいぶ遅れて駆け寄ってきました。
「今動かします!」
だが鍵が見つからなず、慌ててポケットを探し回る。その数秒が、とても長く感じられました。幸い、高齢男性は大事には至らなかったものの、多くの人がその光景を目にしていました。
報告書に青ざめるDさん

実行委員全員が集まり、反省会が開かれ、町内会長が静かに口を開きました。
「今日は大切な話があります」
会場には重い空気が流れ、すると、次々とその場にいた参加者が続きました。
「毎年我慢していました」
「怒鳴られて、来年は参加したくないと思いました」
「子どもが泣いて『祭りが怖い』と言っています」
そして、最後に救急から指摘された今後のイベント運営に関する注意事項が報告書として読み上げられました。
『無断駐車により、現場到着及び活動開始が遅れた。重大事案の場合の致命的な遅れとなりうる』
会場が静まり返り、さすがのDさんも青ざめていました。
「そんな大げさな…」
そうつぶやいた瞬間、町内会長が厳しい声で言いました。
「大げさではありません。地域のお祭りは、誰かが威張るためのものではありません。みんなが楽しむためのものです」
会場中から拍手が起き、その場で役員会の決議が行われ、Dさんが実行委員の役職を外れ、翌年以降の運営への参加もしばらく許可しないことが決まりました。
心から楽しめるお祭りに
翌年の夏、お祭りはこれまで以上に活気にあふれていました。高校生たちは笑顔で屋台を手伝い、子どもたちも安心して神輿を担ぎ、それぞれに声を出しています。
閉会式で町内会長はマイクを握り、こう話していました。
「祭りは、地域のみんなで作るものです。肩書きではなく、思いやりが一番大切です」
会場は大きな拍手に包まれました。それからというもの、楽しいお祭りが続いています。
(ファンファン福岡公式ライター/ルンルン)





