福岡市美術館でピアノコンサート「クラシックを聴きたくて~矢野雄太」

イタリア・ミラノで研鑽を積んだ若き俊英「矢野雄太」が7月19日福岡市美術館に登場!ピアニストとして、また指揮者として活躍する個性的なキャリアと、福岡でのコンサートに向けてお話しをうかがいました。

目次

ピアノとの出会い、音楽人生のはじまり

実際ピアノを始めたのはわりに遅くて6歳過ぎてからです。母が町のピアノの先生だったので自宅に楽器がある環境でした。自分は覚えていないのですが、母曰く僕がやりたいと言ったようです。母は全くそんなつもりはなく、むしろスポーツをやらせたかったようですが…

実際ピアノを習うにあたっては母に習うと絶対に喧嘩になるので、別の先生につきました。もうお亡くなりになられましたが、その先生がとても熱心に指導してくださったおかげで今の自分があると思っています。
けれども、はじめてはみたものの子供の頃は友だちが遊んでいるのがいつもうらやましくて、練習も嫌いだったので、何度もピアノを辞めたいと母に訴えました。母はそれなら自分で先生に言いなさいと、実際に電話しましたが先生が絶対に辞めさせてくれなかった。(苦笑)
ピアノでやっていこうと決めたのは中学一年生の時、東京藝術大学付属高校を受験しようと考えてからですね。

東京芸大からイタリア・ミラノヘ

―芸大からなぜイタリアへ?ですか。
それはもう黒田亜樹さん(ピアニスト/教育者)との出会いに尽きますね。
そしてご主人は杉山洋一さん (作曲家/指揮者) ですから。
お二人にはイタリアで言葉では尽くせないくらいお世話になりました。本当に感謝していますし、大きな影響を受けたと思います。大学時代からいつか留学したいと思いながらも漠然とドイツかなぁと。

亜樹さんに出会ってしまったから行先がミラノになってしまいました。(笑)
それもクラウディオ・アバド音楽院の指揮科!
音楽そのものをより深く広く学ぼうと指揮の勉強を始めました。

正直、もう大変!!! まず楽器そのものを知らなくてはならないし、和声などやらなくてはならないことが山積みでした。ピアノは音を出してしまったら、もう仕方ない、あとは進むだけ。指揮者は自分で音を出さないから常に俯瞰して全体を捉えていく、それがとても難しかったですね。そしてスカラ座の研修生に合格してしまいました。
東京芸大時代は声楽の人達とはまったくやってこなかった、弦楽器の人とばかり。そもそも当時はオペラが苦手でした。まず原語がわからない、そして長い…(笑)
それまでオペラを一本も観たことがなかったから、まぐれとしか言いようがないです。
現在やっている仕事なんて当時は想像もつきません。

そこからが本当に大変でした。スカラ座の研修所はすごい人ばかり。オペラ大好き人間の集団で子供の頃からオペラの子役で舞台に立っていた人とか、合唱参加していたり、みんな鼻歌でフレーズを口ずさんでいますからね。僕はそれがまったくわからないから苦痛で仕方ない。毎週2-3本のオペラを読んでいかなきゃならない。
イタリア語だけでも大変なのに、原語も勉強しなきゃならない、もう毎日辞めたい!と思っていました。(笑)
それでも続けられたのは、やるしかなかったから。

ミラノで共に研鑽を積んだ仲間たちと(矢野さんは左から3人目)
ハードな留学生活の中、つかの間の楽しい時間

日本に戻ってこれから

ミラノには5年住みました。2021年帰国し、東京芸大時代にピアノは国際コンクールなどそれなりに実績を作っていたのですが、指揮に関しては日本でまったくベースがないので、オペラ指揮者の園田隆一郎さんにコンタクトして会っていただき、その後、色々なご縁があり演奏の機会が増えてきました。

オペラ・声楽のコレペティ(※)はとても特殊な分野です。ただのピアノ伴奏ではありません。音楽的なものだけでは処理しきれない世界なので、イタリアで苦しみながらも学んだ指揮とオペラはとても役に立っています。
歌曲やオペラに関してはそこに特化したピアニストが起用されるので、もともとはソロと室内楽をやってきた自分は両方やられるので大きな強みになると思っています。 
(※歌劇場などで歌手に伴奏しながら音楽や発音などの指導・稽古をつけるピアニストのこと)

初めてのソロ・アルバムはシューマン

一番好きな作曲家がシューマンです。最初のアルバムは絶対シューマンでやりたかった。
激渋な選曲でしょう? (笑) 「暁の歌」は一番やりたかった曲です。これをメインにして歌曲の「ミルテの華」、そして「子供の情景」や「アラベスク」「献呈」などを録音しました。福岡市美術館でのコンサートもこの中から何曲か聴いていただくつもりです。

いわゆるヴィルティオーゾ・ピースが入っていないので、シューマンの内面的なものをいかに表現していくか、自分にしかできない世界を届けたい。
そして、クラシック音楽を聴いたことがない、難しいと思っている方々にぜひ聴いてほしい。
ボップスだったら自然に耳に入ってくるように、難しいことは考えないで、ただピアノの音に耳を澄ませるだけ。どう感じるかは人それぞれだし、その時間を楽しんでいただけるよう頑張ります!

(聞き手: 樋口洋子 / 取材協力: ベーゼンドルファー・ジャパン)

最新アルバム「Schumann」ナクソス・ジャパンMYCL-00073 (税込3,410円)

■矢野雄太プロフィール
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学ピアノ専攻卒業後、同大学大学院修士課程修了。その後渡伊、ミラノ市立クラウディオ・アッバード音楽院指揮科を経て、ミラノ・スカラ座研修所を修了。
第23回リナサラガッロ国際ピアノコンクール、バッハ特別賞。第13回アントニオ・ナポリターノ国際ピアノコンクール第1位。他国内外のコンクールにおいて、優勝、入賞多数。ヨーロッパ、アジア、日本各地でリサイタル、室内楽、コンチェルトソリストとして演奏を行う。また著名な楽器奏者、歌手とも多くの演奏会、音楽祭にて共演する。指揮者としても「カヴァレリア・ルスティカーナ」等を指揮。2026年春、ファーストアルバム「Schumann」をリリース。東京藝術大学非常勤講師。 
オフィシャルサイト➡https://yutayano.com

クラシックを聴きたくて~矢野雄太アフタヌーン・コンサート

■日時 2026年7月19日(日) 1st Stage 13:00開演 2nd Stage 15:30開演 いずれも約1時間のコンサート
■会場 福岡市美術館 ミュージアムホール(福岡市中央区大濠公園1-6)
■プログラム(予定)
シューマン:子供の情景より/シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化「間奏曲」/ショパン:スケルツォ第2番 / J.S.バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ ニ短調 他
■全席自由 前売2,000円/当日2,500円 (いずれも税込)
■チケットのお求めは
・エムアンドエム 092-751-8257
イープラスhttps://eplus.jp/
・チケットぴあ(Pコード324-164)

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■お問合せ エムアンドエム 092-751-8257(平日10:00-18:00)
■主催:エムアンドエム / Arts & Music Labo
■共催: 福岡アートミュージアムパートナーズ
■後援: 福岡市 / 西日本新聞社
         

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樋口 洋子

長年音楽・楽器業界で仕事をしてきました。ここ福岡で感動とときめきをお届けできるコンサートやアーティストの情報をご紹介していきます。

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