いつも通りの日中のお昼寝中に、突然はっきり寝言を発した3歳の息子。まるで会社員のような口調と言葉選びに、それを聞いてたまらず爆笑。「将来有望だね」と、ほっこりした子育てエピソードです。
いつも通りのお昼寝タイム

当時3歳だった息子は、毎日欠かさずお昼寝タイムがあります。
その日もいつもと同じように、窓から柔らかい光が差し込むリビングで、布団に横になった息子の背中をゆっくりトントンしながら寝かしつけていました。
お昼寝もぐずってなかなか寝てくれない日が多いのですが、その日は珍しくすんなりと目をとろんとさせて眠ってしまいました。休日で家にいた夫も隣に腰を下ろし、二人で寝顔を眺めていました。
いつものように少しずつ寝息が聞こえ始め、すっかり眠りに落ちたと思っていた矢先のことです。静かな部屋に、息子のはっきりした声が響きました。
「かしこまりましゅた…」
舌足らずな「しゅ」の発音のせいで、いつも以上に可愛らしいはずなのに、声のトーンや間の取り方は、電話口で丁寧に対応するベテラン会社員そのものでした。
思わず顔を見合わせた夫婦
あまりに堂々とした言い方だったので、「今、誰が喋った?」と部屋を見回してしまったほどです。
私は看護師をしていて、働いている病院内にある保育所に息子を通わせています。送り迎えの際に、廊下ですれ違った上司や先輩と仕事の話をするときには、私は自然と背筋を伸ばし、少し声のトーンを落として
「かしこまりました」「承知いたしました」と丁寧に受け答えをする癖がついています。
家では見せない、いわば「仕事用の顔」です。まさかそれを、こんな思いがけない形で息子の口から聞くことになるとは、想像もしていませんでした。
しかもよく見ると、小さな手を胸の前できちんと揃えるような仕草までしていて、余計に本物らしさが増していました。
隣で一緒に見守っていた夫と私は、思わず顔を見合わせ、我慢しきれずに「ぷっ」と吹き出してしまいました。
見ていないようで見ていた息子

息子はただの寝言として口にしただけなのに、あまりにもはっきりと発音するものだから、しばらくは息子の横で笑いをこらえるのに必死でした。ですが、
「今の、絶対ママの真似だよね」と夫が笑いながら言うので、私も
「もしかして、保育所の前で上司に挨拶してるところ、見られてたのかな」と、二人で笑いが止まらなくなりました。
考えてみれば、送り迎えのたびに息子は私の側やベビーカーの中から、私が上司に頭を下げる様子をじっと見ていたのかもしれません。普段は仕事の話などまったくしていませんでしたが、子どもはこちらが思う以上に、親の背中や表情、声の出し方まで敏感に感じ取っているのでしょう。
子どもは大人が思っている以上に、日々の何気ないやり取りをよく見て、よく聞いているのだと改めて実感した瞬間でもありました。
保育所で一緒の女の子たちがする話にも気後れをしてか口ごもることが多く、普段は「イヤ」「やらない」しか言わない息子の口から、あんなに丁寧な言葉が飛び出すとは、想像もしていませんでした。
「将来有望だね」と大笑い

「将来有望だね」 夫がしみじみとそう言って笑うと、私も
「営業職とか向いてるかもね」「もしかしたら接客業の才能があるのかも」
と返し、顔を見合わせて笑い合いました。
言葉もたどたどしい3歳児が発した寝言。それだけのことですが、何気ない午後のお昼寝タイムが、忘れられない爆笑エピソードに変わりました。
あの日以来、わが家では息子が何か大人びた仕草をするたびに
「今日も上司に挨拶してきたの?」と冗談を言うようになっています。
これからも、息子が思いがけない一言で私たちを驚かせ、笑わせてくれる日が続くといいなと、心から思っています。
(ファンファン福岡公式ライター/shinobu)





