街中で、周囲への配慮を忘れた行動に出くわし、モヤモヤした気分になった経験はありませんか?今回は、近所の路上で遭遇した「歩き香水」にイラッとしたものの、その場に居合わせた品のあるおばさまの見事なひと言で一気に心が晴れ渡ったエピソードをお届けします。
すれ違いざまに「シュッ!」突然襲ってきた激しい刺激臭

ある日の午後、私は買い物帰りに近所の歩道を歩いていました。住宅街へと続くその道は、すれ違う人同士が適度な距離感を保ちながら行き交う生活道路です。
前方から、おしゃれな洋服に身を包んだきれいな女性が歩いてくるのが見えました。スタイルも良く、一見すると素敵な雰囲気の女性です。よく見ると彼女は前を向いて歩くのではなく、手元の大きなバッグの中をごそごそと探りながら歩いていました。
前をあまり見ていない女性との接触を避けるために少し端に寄ってすれ違おうとした、まさにその瞬間でした。
「シュッ! シュッ!」
女性はバッグから取り出した小さなアトマイザーを、歩きながら自分の首元や空間に向かって景気よく吹きかけたのです。風に乗って広がる強い香り。すれ違う私の顔面を、香水の細かい霧と強烈な刺激臭が襲いました。「うわっ!」と思わず目をつむり、鼻と喉を突く強い刺激にむせてしまいそうなほどでした。
「道はあなたの部屋じゃない」モヤモヤが最高潮に達した瞬間
驚きながら振り返ると、その女性は何事もなかったかのように颯爽と歩き去っていきます。手元のアトマイザーを仕舞いながら、自分の世界に没頭している様子でした。
歩行中の喫煙や歩きスマホも危険でマナー違反ですが、「歩きながら香水を撒き散らす」という行為もなかなかの迷惑行為です。風向きによっては周りの人の目や鼻に入り、アレルギーや体調不良を引き起こす可能性だってあります。
何より、公共の道路をまるで「自分の部屋」かのように扱っているその無頓着さに、ふつふつと怒りが込み上げてきました。
「一言注意したいけれど、わざわざ呼び止めて揉めるのも嫌だな…」と、私は目をしばしばさせながら、収まりのつかないモヤモヤを抱えて立ち尽くしていました。
こぎれいなマダムの爽快なひと言!スカッと胸が晴れた瞬間

そのときです。私のすぐ隣を歩いていた、和服姿のおばさまが、足を止めました。
ピシッとした姿勢で、その女性の後ろ姿へ向かって、通り全体に響き渡るようなハッキリとした声でこう言ったのです。
「あらあら、ここがご自分のお部屋と勘違いなさっているのかしら? 芳香剤ならお家の中で撒けばよろしいのに」
そのひと言は、品のある穏やかな口調でありながら、芯の通った皮肉とユーモアが見事に効いていました。歩き去ろうとしていた女性も、その声が聞こえたのか一瞬振り返り、ばつが悪そうに歩調を速めて立ち去っていきました。
おばさまの言い得て妙な表現に、私の頭の中に渦巻いていた怒りは一瞬で吹き飛び、思わず「ぶっ」と吹き出しそうになってしまいました。おばさまと目が合うと、おばさまは「大丈夫?」と優しく微笑みかけてくれ、優雅に歩いて行かれました。
マナー違反に対する直接的な暴言ではなく、ユーモアのあるひと言で一刀両断してくれたおばさまの神対応。自分の代わりにスカッと胸のすくような爽快感を届けてくれたマダムの言葉に感謝しつつ、「自分も公共の場での振る舞いには気をつけよう」と気持ちを新たにした出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/たまゆら)





