3歳の甥っ子は実家にやってくるたびに「帰りたくない!」と言います。私は「じいじともっと遊びたいのかな」と思っていました。ところが、ある日聞いた理由は私の予想とは少し違い、甥っ子の言葉は今でも心に残る宝物となりました。
帰る時間になると始まる甥っ子とのやり取り

私の父の事を「じいじ」と呼ぶ甥っ子は、休日になると家族で実家へ遊びに来ます。そして、1階のリビングには元気な笑い声が響き、ブロックや積み木、ミニカーといったおもちゃがあちこちに広がります。
じいじと追いかけっこをしたり、一緒に遊んだりと、時間を忘れるほど楽しそう。そんな楽しい時間もあっという間。帰る時間になると、甥っ子は決まって「まだ帰りたくない!」と言います。
その姿がかわいらしくて、私の家族みんなが笑顔になるのが、いつもの光景でした。私はずっと、帰りたくない理由は、大好きなじいじともっと遊びたいからだと思っていました。
実際、甥っ子は実家へ来ると真っ先にじいじのところへ向かい、うれしそうに過ごしています。自分の家に帰るのを渋る甥っ子の様子を見ていた私は「また来ようね」と声を掛ければ納得するものだと思っていました。
ところが、ある日の帰り際、私の予想とはまったく違った理由を甥っ子が口にしました。
私に伝えてくれた忘れられないひと言

実家にやってきてじいじと遊んだある日、帰る準備をしながら、甥っ子は少し寂しそうな表情を浮かべていました。すると、私に向かってぽつりと言いました。
「〇〇ちゃん(私)のご飯がおいしいから帰りたくない」
私は普段から家族の食事を作ることがあります。でも、家族にとっては毎日のことなので、改めて「おいしいね」と言葉にしてもらう機会はありません。だからこそ、甥っ子からのそのひと言が胸にじんわりと広がりました。
甥っ子にも、遊びに来るたびにカレーやポテトサラダなどを作っていました。料理を褒められたこともうれしかったのですが、それ以上に、そんなふうに思っていてくれたことが本当にうれしかったのです。
何気ないひと言が今でも私の宝物

甥っ子は、その日の気分で何気なく口にしただけだったのかもしれません。それでも、私には十分すぎるほど嬉しいひと言でした。
「おいしい」と言われるために食事を作っているわけではありません。それでも、素直な気持ちを言葉にしてもらえると、不思議なくらい心が温かくなります。
甥っ子の「私が作ったごはんがおいしい」という言葉は、私にとって思いがけない贈り物となりした。あの日の甥っ子の笑顔とひと言は、今でも料理をするときの励みになっています。
感謝やうれしい気持ちは、心の中で思っているだけでは相手には伝わりません。何気ないひと言でも、言葉にしてもらえると、その人にとって忘れられない宝物になることがあります。私もこれからは、うれしかったことや感謝の気持ちを素直に伝えていきたいと思います。
言葉には、人の心を温かくする力があるのだと、甥っ子が教えてくれました。
(ファンファン福岡公式ライター/わーちゃん)





