深夜の静まり返った病棟に、突如鳴り響くナースコール。新人看護師だった私が体験したのは、説明のつかない“真夜中2時”の出来事でした。患者さんは眠っているはずなのに、なぜか鳴るコール音。そして、その音に気づくのはなぜか私だけ…。やがて先輩から明かされた過去とともに、忘れられない恐怖の記憶となった体験を振り返ります。
真夜中2時のナースコール

私が新人看護師だった頃の話です。
夜勤帯の病棟は昼間とは打って変わってシーンとしています。静かな病棟はまるで別世界。日中は患者さんと看護師の話し声やスタッフの行き来で賑やかな病棟も、夜になるとスタッフの数が減り、患者も就寝時間となるため静寂に包まれどこか現実離れした雰囲気が漂っています。
ある日の夜勤のことです。真夜中2時に突然ナースコールが鳴りました。静まり返った病棟では、ナースコールの音でさえやけに大きく響き渡り、思わずドキッとします。すぐにナースコールが鳴った病室を見に行きましたが、患者さんはスヤスヤと眠っています。そもそもその患者さんは寝たきりで、自分ではナースコールが押せません。
「どうしてナースコールが鳴ったのだろう?何かの不具合かな?」と不思議に思いながらも業務に戻り、その日の夜勤は終了しました。
なぜか真夜中2時のナースコールは私だけが聞こえる?
しかしその真夜中2時のナースコールはその日だけではありませんでした。別の日、また前回と同じ真夜中2時にナースコールが鳴ったのです。例の寝たきりの患者さんの病室からです。
さすがに不気味に感じ、ナースコールの故障かと思い機械のチェックをしましたが異常はありません。一緒に夜勤をしていたスタッフに話をしましたが、「えっ?ナースコール?鳴ってたかしら?」と言われました。私だけが該当病室のナースコールの音が聞こえるのかもと思い、背筋が凍りました。
他の部屋でもナースコールは鳴っていたため、不気味に思いながらも、たまたま他の患者さんの対応に追われ気づいていなかったのかなと思い込むことにしました。けれどもその後たびたび同じことが続いたのです。決まって夜中の2時にナースコールが鳴ります。そして一緒に夜勤をしているスタッフは気づかなかったと言います。
先輩から聞かされたゾッとする事実

ある日、過去にうちの病棟で働いていて今は別の病棟で働くベテランの先輩にたまたま食堂で遭遇したので、夜中2時のナースコールの話をしました。先輩は表情を曇らせ、このように言いました。
「あぁ、あの病室ね。あそこ、私があの病棟にいたときから真夜中2時になると必ずナースコールが鳴ってたわ。ずっと前にそこに入院していた患者さんがいたのだけど、退院間近で急変して亡くなってしまったのよ」と。
その先輩からの話を聞いて、偶然とは思えない出来事の重なりに鳥肌が立ち、一気に血の気が引いたのを覚えています。
消えたナースコール
ベテランの先輩から亡くなった患者さんの話を聞いた後、例の病室から夜中2時のナースコールはぴたりと鳴らなくなりました。なぜあれ以降ナースコールが鳴らなくなったのか、理由はわかりません。
あの病室で起こったことを聞いたことで何かが変わったのかもしれません。しかし、夜勤中に時計が夜中の2時をさすたび、今でもナースコールが私の頭の中で鳴る気がします。あの真夜中2時のナースコールは機械の不具合だったのか、それとも別の何かだったのかは今でもわかりません。
(ファンファン福岡公式ライター/つきのあ)





