中学に入学して間もない息子が「クラスに自分と似ている奴がいる」と言い出しました。よくある「他人の空似」だろうと聞き流していた私。ところが、初めての授業参観へ行くと、教室にいた生徒は私の予想を超えていたのです。
「自分に似ている子がいる」息子の訴え

息子が中学校に入学して間もない頃、家に帰ってくるなり
「今日、クラスの奴に『お前にそっくりな奴がいる』って言われたんだよね。K君っていうんだけどさ、ホントに似てるんだよ」ということを言い出しました。
中学生といえば体格も似通ってくる時期ですし、髪型や雰囲気が少し似ている程度だろうと思い、私は
「へえ、世の中には似た人がいるって言うしね」と軽く返事しました。
よくある「他人の空似」くらいに考えて、深く気にも留めず聞き流したのです。
ところが、息子が中学生になって初めての参観日、私が教室の後ろでわが子の様子を伺っていたときのことです。息子の席とは少し離れた場所に、とある生徒にふと視線が吸い寄せられました。それは例のK君だったのです。
「えっ、嘘でしょ!?」
思わず心の中で叫び、自分の目を疑いました。噂通りどころか、顔立ちや体格はもちろん、後ろ姿やふとした立ち姿、さらには手元の小さな仕草まで…。親の私でも見間違えてしまいそうなほど、どこからどう見ても息子そのものだったのです。
「こんなことってあるの…?」と、私は参観中ずっと混乱して、息子よりもK君の姿を凝視してしまっていました。
帰ってからそのことを息子に話すと、クラスのみんなからそっくりだと言われるそうで、担任の先生も
「あ、ごめん!K君と間違えて指名してしまった」と謝罪するレベルだったそうです。
部活の大会で惑わされた日

息子とK君は同じ卓球部に入っていました。
本当の試練(?)が訪れたのは、卓球部の大会を夫婦で応援に行ったときに起こったのです。
会場は大きな体育館で、フロアには卓球台がズラリと並び、選手たちがひしめき合っています。親たちは遠く離れた高い場所にある観覧席から見下ろすスタイル。ただでさえ選手の人数が多く、わが子を探すのも一苦労でした。
夫と二人で観覧席から身を乗り出し、息子の姿を探していたのですが…
「あれ、うちの子じゃない?」
見つけた選手は、遠目から見ると、見た目も体型も完全に息子。しかし、背中のゼッケンの名前を見るとK君でした。
息子とK君の二人とも同じユニフォームを着ているため、「息子の試合が始まる!」と思ったら、ゼッケンの名前を見て「あ、K君だ!」と判明する始末です。見つけるたびに親としての自信が揺らぎました。
事前に話していたものの、実際に目の当たりにした夫も
「見れば見るほどそっくりだね!」「こんなことってあるんだ…」と目を丸くし、私と同じようにK君が気になってしょうがない様子。
親ですら混乱してしまうのですから、学校で毎日二人と接しなければいけない周りの人たちの戸惑いが身に染みて理解できた瞬間でした。
他人とは思えない

先生や同級生はもちろん、親である私たち夫婦までも翻弄されることになった、まさに「ドッペルゲンガー現象」。
それ以来、学校行事などでK君の姿を見かけると、なんだか他人とは思えない不思議な親近感が湧くように。
それは、「わが子がもう一人いるような感覚」でした。息子はK君とは仲良くやっていたようで、私も愛おしく感じるようになり、見かけるたびにわが子以上に気になる存在になってしまいました。
息子が中学校を卒業して、K君に会う機会がなくなった今でも時々、
「K君はどうしているかな?今もそっくりなのかな?」と、家族で思い出話をすることがあります。
「世の中には自分に似た人が3人いる」と言いますが、まさか中学校の同じクラスに現れるとは思いもしませんでした。 親さえも見事に惑わされた、今でも笑ってしまう少し不思議な出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター/hitoyume)





