「あればい! あそこ!」友人の下宿の天井裏から覗いていたものとは…【実話怪談】

福岡の民話・伝説収集家であるチョコ太郎さんは、子どもの頃から不思議な体験を数多く見聞きしてきました。今回は、大学時代に友人から呼び出された、あるアパートの一室にまつわる話です。

目次

「見てもらいたかもんがある」友人からの呼び出し

写真AC

「今日ちょっと俺のアパートに来ちゃらん?見てもらいたかもんがあるっちゃん」
大学3年生の時、友人Sがそう声をかけてきた。

1カ月前にそのアパートに越して来たばかりだったSに、何か不都合があったのかと尋ねたが、モゴモゴとはっきりしない。

大学近くのうどん屋で軽く夕飯を済ませて、二人でアパートに向かった。

Sのアパートは古い木造家屋が多く残るT町にあった。近くに流れる川には橋もかかっておらず、狭い道ばかりで暗い印象の町だった。

消えないテレビの光と、窓の外の人影

ドアを開けると、薄暗い部屋の中でテレビの画面が光っている。

「つけっぱなしやったと?」(チョコ太郎)
「それも話すけん。ま、入らんね」(S)

そう言うとSは部屋の電気をつけた。

「この部屋…変なことばっかりあるっちゃんね」

来る途中で買ったビールを飲みながら、Sはぼそぼそと話し始めた。

「さっきみたいに消したはずのTVが勝手についたり…」(S)
「他には?」(チョコ太郎)
「そん窓の外ば何人も人影が通るとよ」(S)
「そら人ぐらい通るやろ」(チョコ太郎)
「なら、ちょっと窓ば開けてん」(S)

言われるまま開けてみると、そこは道路ではなく隣家のブロック塀が迫っていて、とても人が行き来するとは思えなかった。

「まぁ特に害があるわけでもなさそうやし、気にせんどけば良かやん」
自分でも気休めっぽく感じながらそう言うと、
「見てもらいたかて言うたとはまた別で…あそこなんよ」と、Sはそう言いながら天井の隅を指さす。

「あの天井板がどうかしたん?」(チョコ太郎)
「見てもろうた方が信じてもらえるやろうけん、泊まっていかんね」(S)

何があるのか興味があったので、泊まって見届けることにした。

天井裏から覗いていた“それ”

揺すられて目が覚めた。いつの間にか眠っていたようだ。

「あればい!あそこ!」

Sの声に慌てて枕元の眼鏡をかけて天井を見た。

隅の天井板が…ズレてる?そう思った瞬間、スッと閉まった。

「見た?」(S)
「板が…動いたね」(チョコ太郎)
「いや、女!女があそこから覗いとったやん!」(S)
「女?それは見えなかったなあ…でもココなんかマズいね」(チョコ太郎)
「やっぱそう思う?引っ越して来たばっかりなんやけどなあ」(S)

二人とも眠るどころではなくなった。部屋にいるのも嫌になったので近所の公園まで行き、そこで朝まで話した。

Sはとりあえず不動産屋に相談しに行くことにした。その夜、Sは別の空いている物件に移ることになった。敷金も全額返ってきたそうだ。

「全部説明する前に不動産屋の親父は“ああ、またか”みたいな感じやったばい」
転居先でSは気が抜けたようにそう言った。

祖母が黙って連れて行った氏神さん

その週末、久しぶりに実家に帰ると庭に祖母が立っている。

「ばあちゃん、何しよん?」

「ちょっとついておいで」

そう言うと氏神さんのところに連れて行かれ、神主さんからお祓いを受けた。

「どうしてお祓いを?」

「妙な所に行ったろ。だから念のためにね。もう大丈夫」

なぜ分かったのか聞いたが、祖母は笑って答えなかった。

(ファンファン福岡公式ライター/チョコ太郎)

※本記事は、ファンファン福岡に掲載された公式ライター・チョコ太郎の連載「祖母が語った不思議な話」で過去掲載された記事を、再構成・再編集したものです。

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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