2人目を妊娠中に家族で散歩をしていたときの出来事です。向こうから自転車がやってきました。道の端に避けて通り過ぎるのを待っていたら、なぜか私を目がけて真っ直ぐ突っ込んできたのです!
妊娠後期の穏やかな休日

2人目を妊娠中、臨月に近い時期のことです。たまたま夫と私の休日が重なり、保育園をお休みさせた長男と家族3人で過ごすことにしました。
10月中旬の心地よい秋晴れ。遠出は控え近所の公園へ散歩に。久しぶりのお出かけに嬉しそうな長男の笑顔を見ながら、残り少ない3人での時間を噛みしめる、とても穏やかで幸せなひとときでした。
そして、3人でたくさん遊んで大満足の帰り道。歩道と車道が分かれていない、車幅5メートル以上の緩やかな下り坂を歩いていた時のこと。後ろからキーッと自転車のブレーキ音が聞こえました。
十分に道幅はありましたが、念のため夫と長男を先に行かせ、私は一歩下がって道路の端に寄り、自転車が通り過ぎるのを待つことにしたのです。ところが、待てども待てども自転車が通り過ぎません。
不思議に思って振り返ると、自転車の姿が見えました。乗っていたのは見知らぬおばあさん。ゆるやかにブレーキをかけながら、道の端に避けている私たちに向かって真っ直ぐ進んでいるのです。
広い道路で明らかにこちらを目掛けて向かってくる姿に、私は不安を覚え始めました。
突然の衝撃!

「あの自転車、こっちに向かって来てない…?」
夫に声をかけ、邪魔にならないよう立ち止まることにしました。
そろそろ通り過ぎるだろうと思ったその瞬間。ドン!っと腰から下に強い衝撃を受けました。
慌てて振り向くと、先ほどのおばあさんが自転車ごと私に突っ込んできていたのです。前かごが私の腰あたりにダイレクトにヒット。
「なにしてるんですか!?」と強めの口調で問い詰めると、おばあさんは反省する様子もなく平然と言い放ったのです。
「運転の操作を誤っただけ」
6メートル以上あるような広い道で、避けているこちらを目掛けて真っ直ぐ進んできておいて「誤操作」なんて…。怒りに震える私を制し、夫が
「まず、謝ってもらえますか?」と静かに言いました。しかし、おばあさんは
「わざとじゃないんですよ」と言い訳して、謝罪の言葉はありません。
幸い、私はタイヤが当たった足に擦り傷程度のけがをしただけだったので、きちんと謝ってくれれば大ごとにするつもりはありませんでした。ですが、おばあさんの反省ゼロの態度は許せず、警察を呼ぶことにしたのです。
駆けつけてきた警察に事情を説明

ほどなくして警察が到着し、事情を説明します。おばあさんは「前を見てなかった」「足が痛くて気を取られた」と慌てて言い訳を並べ立てたかと思うと「妊婦さんにケガさせて申し訳ない」と急に謝り始めたのです。
おまわりさんから、ご家族へ連絡を入れていただくと今度は
「謝ったんだからもういいじゃない!」と、またしても身勝手な発言をし始めたのです。
その瞬間、夫が
「もういいかどうかはこちらが決めることなので!」ときっぱり。
ぐうの音も出なくなったおばあさんは、それ以降余計なことを言うことはありませんでした。
翌日、産婦人科で診てもらうと、足の擦り傷以外に問題はなく赤ちゃんの無事も確認でき、胸を撫で下ろすことができました。
後日明らかになった真相
後日、おばあさんのご家族から丁寧な謝罪のお電話があり、なぜあんな行動に出たのか家族で問い詰めた結果判明した、本当の動機を聞かされることに。
「足の痛みや不眠のストレスが溜まる中、公園で見かけたご家族がとても幸せそうに見えて…自分が独りぼっちに思えて嫉妬してしまった」
真相を知った瞬間、あまりの恐怖にゾッと背筋が凍りつきました。まさか公園から目をつけられ、後ろをつけられていたなんて…。
どれほど辛い事情があっても、理不尽に他人へぶつけていい理由にはなりません。今後はおばあさんに自転車に乗らせないことを約束してもらい、この一件は幕を閉じました。
今でも10月の爽やかな風を感じるたび、おばあさんの身勝手さと、家族を守ってくれた夫の頼もしさを思い出す出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター/すぅ)





