息子の小学校の卒業が間近になった頃。息子と仲良しの男子数人とそれぞれのママたちで近所のファミレスでランチをすることに。進学準備に追われながらも、男子にありがちな幼さを嘆いていた母親たちは、子どもたちの思わぬ行動に成長を感じたのです。
卒業間近のランチ会は母たちの不安でいっぱい

子どもの小学校の卒業が近づいてきました。小学校の入学式の日は、あんなにランドセルの方が大きく見えていたのに、今ではずいぶん体つきが大きくなりました。しかし、中身はといえば、まだまだ精神的には幼い男の子。
そんなことを考えていたある日、同じ中学校に進学する予定の仲良しグループの母子で、近所のファミレスに集まりました。
子どもたちはメニューを見て
「何にしようかな!」
「ハンバーグ大盛りにする!」とはしゃぎます。
ママたちは注文よりもトークが優先。話題はもっぱら「中学校の進学準備」について。
「制服のサイズ、3年間着られるようにって大きめを買ったら、ぶかぶかで服に着られてるみたいで」
「制服、洗い替えは買った?」
「部活は何に入るつもりなんだろう」
など、話題に事欠きません。
話がひと段落すると、自然とわが子に対する日常のボヤキに変わっていきます。
「朝は何度起こしても起きないし、提出物は出さないし」
「家ではゲームばかりで、本当にこれで4月から中学生になれるのか心配になっちゃうよね」
私は、みんなの心配のひとつひとつに
「わかるわかる!」「まだまだ中身は幼いままだね」と
ホールに響くほどの子どもたちの屈託のない笑い声を聞きながら、同意していました。
ドリンクバーで見せた子どもたちの思わぬふるまい

タッチパネルでの注文を終えると、子どもたちは
「じゃあ、ドリンクバー行ってくる!」と嬉しそうに席を立ちました。
いつものように、どのジュースにするかでワイワイしながら、炭酸飲料を混ぜ合わせたり、楽しそうにグラスに飲み物を注いでいます。
私たちはそれを見守りながら、引き続きママ友とのトークに花を咲かせていました。
「自分たちの分を持ってきたら、また席で騒ぐんだろうな」なんて思っていた、そのときです。
席に戻ってきた子どもたちの両手には、自分たちのグラスだけでなく、もう一つずつ温かい飲み物が入ったカップが握られていました。
「はい、これお母さんたちの分。いつも飲んでるやつ持ってきたよ」
そう言って、頼んでいないのに、私たちが普段からよく飲んでいるコーヒーや紅茶を、それぞれの母親の前にそっと置いてくれたのです。少し照れくさそうに、でもこぼさないようにと慎重にカップを運んでくれたその姿に、ママたちのトークはピタッと止まりました。
「えっ、ありがとう!」
「わざわざ持ってきてくれたの?」
と驚く私たちに、息子たちは
「別に普通だし」とぶっきらぼうに答えながらも、どこか誇らしげな表情で自分たちのジュースを飲み始めました。
家では
「お茶ちょうだい」「あれ取って」
と甘えてばかりの男子たちが、母親の好みをちゃんと把握し、言われなくても先回りして気遣ってくれるなんて。母たちの心に、驚きと嬉しさがこみ上げた瞬間でした。
知らない間にしっかり成長していた子どもたち

母たちは、それぞれの子どもたちが持ってきてくれた飲み物を口に運びます。1杯目をあっという間に飲み終えた子どもたちは再びドリンクバーへ。
子どもの様子を見ながらママ友の一人がぽつり。
「全然しっかりしてないと思ってたけど、いつの間にかちゃんと周りが見えるようになってるんだね」
家の中では気づきにくいけれど、子どもたちは学校や友達同士の世界の中で、私たちが思っている以上にずっと大人へと近づいていたのです。
注文した料理が届くと、子どもたちは料理を食べながら、くだらない冗談を言い合ってゲラゲラと笑っていました。その姿はまだまだ小学生そのものです。でも、彼らが少しずつ、確実に「誰かを思いやる優しさ」を身につけていることを、私たちは知ることができました。
数週間後には、まだ少しぶかぶかで見慣れない制服に身を包み、中学校の門をくぐる彼ら。きっと新しい環境で壁にぶつかったり、悩んだりすることもあるでしょう。
それでも、この日の子どもたちのように、親の気づかないうちに成長していくんだろうな、少し感慨深く思ったファミレスでのひとコマでした。
(ファンファン福岡公式ライター/たまゆら)





