夏になると、子どもをどこかへ連れて行ってあげたいと思いますよね。私も数年前の夏休み、家族で大型レジャープールへ出かけました。子どもたちは大喜びでしたが、その翌日、私は予想もしなかった事態に見舞われたのです。
プールの入場待ちの行列

夫の提案でプールに行く予定にしていた日は、気温38℃の予報。この天気予報を見た瞬間から、「今日は暑くなりそうだね」ではなく、「今日は生き残れるかな」というのが夫婦の共通認識になりました。
それでも子どもたちは大型プールを楽しみにしています。開園前から並ぶ予定でしたが、幼い子どもを炎天下に滞在させるわけにもいかず、まずは夫が列へ向かい、
「開園20分前くらいに交代しよう」と、私と子どもたちは車で待機することにしました。
時間になって子どもを連れて列へ向かうと驚きです。日陰はゼロ。アスファルトからの照り返しが容赦なく襲ってきます。夫の顔はすでに真っ赤でした。
(これはヤバい…)
そう感じながら今度は私が列に並び、夫は子どもを連れて車へ避難します。
私が列に並び始めて数分、立っていただけなのに汗が止まらなくなりました。風が吹いていたのですが、まるで巨大なドライヤーの熱風を全身で浴びているようです。
そして、いよいよ開園数分前。夫と子どもたちも列へ戻ってきました。
「あと何秒!?」「早く入りたい!」
すぐにでも泳ぎたくて子どもたちは大興奮です。
一方、私はというと、
(お願いだから、このままプールに飛び込ませてくれ…)
容赦のない日差しに照らされて、すでにエネルギー残量20%でした。
開園と同時に始まる競争

開園時間、ようやくゲートが開きました。ですが、暑さとの戦いが終わるわけではありません。親にとっての本番はここからです。
そう、「場所取り」です。開園と同時に、たくさんのパパたちがテントを担いで猛ダッシュ。夫も「行ってくる!」と駆け出しました。私は幼い子ども2人と、大きな浮き輪、クーラーバッグ、着替えなどの荷物を抱えて後を追います。
ジリジリと焼けるような日差しに、肩に食い込む荷物、そして流れ続ける汗。
(まだプールに入ってないよね?)
確認したくなるほど、全身から汗が流れだしていました。
なんとか日陰の場所を確保した頃には、すでに一仕事終えた気分です。しかし、その後は流れるプールに入ったり、子ども向けエリアで遊んだりと大忙し。元気いっぱいの子どもたちとは反対に、私は途中から頭が少し重く感じるようになっていました。
それでも、(せっかく来たんだから)(あと少しだけ)
そう思いながら、14時過ぎくらいまで家族みんなで遊び続けたのです。
翌朝の異変

帰宅後は疲れていた割にテキパキと洗濯物や片づけをすませ、その日は早めに寝ました。
ところが翌朝です。目が覚めたときに体が異常に重く、起き上がれませんでした。強い頭痛と吐き気もあります。
(なんか変だな…)
最初は疲れが出ているだけだろうと考えていました。しかし、時間が経っても改善せず、水を飲むのもつらい状態になったのです。さすがにおかしいと思い、病院を受診しました。
病院で前日の出来事を説明すると、医師はすぐに言いました。
「熱中症ですね」
私は聞き返しました。
「えっ、昨日の夜は元気でしたよ?」
すると医師は、
「熱中症は、その場で倒れるとは限りません。翌日、強い症状とともに倒れる人もいるんですよ」
と説明してくれたのです。ひどい脱水を起こしていた私は点滴を受けました。その後は3日間くらい軽い頭痛や食欲不振が続いたと思います。夫や子どもはなにごともなく、体調を崩したのは私だけでした。
当時の私は、熱中症といえば炎天下で倒れるものだと思っていました。水分は取っているつもりでしたし、家まで帰れているのだから大丈夫。そんな認識だったのです。だからこそ、「熱中症」と言われたときは本当にゾッとしました。今ならニュースや学校のお便りなどで熱中症について耳にする機会も多く、「そういうこともあるんだ」と分かります。
夏になるたびに、開園前の列で真っ赤になっていた夫の顔と、「早く水に入りたい」と願っていた自分を思い出します。子どもたちにとっては夏の最高の一日だったかもしれません。しかし私にとっては、暑さを甘く見てはいけないと痛感した一日となったのです。
(ファンファン福岡公式ライター/大空 琉菜)





