木のおもちゃ屋で、ひとやすみ。【第3回】くらべる

こんにちは、木のおもちゃ・おひさまやです。
「うちの子、他の子より小さいな」「上の子はこのぐらいできてた」「他のパパはやってるよ」…などなど、ついつい無意識でやっちゃう、親の『比べる』が今回のテーマです。

目次

他の子より…子ども同士を比べて、わが子を下げない

赤ちゃんを前にしたお母さんが、こんなことをつぶやきました。
「同じ日に生まれたほかの赤ちゃんより小さい」「うちの子は泣いてばっかり」
ちゃんと育てられるだろうかという不安や心配が強いからなのか、他の子とついつい比べてしまうようです。

おひさまやの店頭で、こんなことがありました。
4歳くらいの男の子がサンプルの2重パズルに手を伸ばしました。
でも、少し触ると「むずかしい」と小さくつぶやいて、すぐにほかのおもちゃに移動しました。

色んなおもちゃに興味があるのかなと見守っていると、同じ年頃の女の子がやってきて、その2重パズルをテキパキとはめて遊び始めました。

それを目にした男の子のお父さんが、こう言ったのです。
「あの女の子、同じ年くらいなのに、お前とは出来が違うな」「お前はダメやな」

私はハァ?!と叫びそうになりました。なんて悲しいことを言うんでしょう!
そんな決めつけや否定をされたら、子どもは自分のことを好きになれません。

「お父さん、このパズルやってみてください」と私は2重パズルをバラバラにしてお父さんに差し出しました。
実は大人でもちょっと手こずる難易度の高いパズルです。
お父さんはチャレンジしますが「…あれ、意外と難しいな」と汗をかいてます。
ここで「お前はダメやな」という言葉を投げられたら、お父さんはどう感じるでしょうか?

こんな場面でも、ご挨拶できる子のママからは、子どもらしくていいな…と思われてるかもしれません。

子どもの昔と今を比べる=成長を認める

他の子と比べて、わが子を下げることで、やる気をあおるやり方は絶対にダメです。
「お兄ちゃんはできたけどね」などと、きょうだいで比べるのもやめましょう。悲しい気持ちしか生まれません。

「できなかったことができるようになったね」と、その子の昔と今を比べるのはOKです。
今育てているわが子をまずはしっかり見つめましょう。

寝返りが遅い、ハイハイが遅い、ことばが遅い…。
『誰か』と比べると早い遅いがとっても気になりますが、『わが子』を軸にすると、とらえ方が変わります。

コロンって寝返りさせたら笑った、ハイハイしようと頑張ってる、マンマってしゃべったみたい!
こんなふうに、昔のわが子と成長した今のわが子を比べてみませんか。

もし検診などで専門家から「少し成長がゆっくりみたいですね」とアドバイスされたら、専門家に相談しながら、わが子のペースで成長する準備を進めましょう。

「背が高いが勝ち」ではなくなった!

数に興味を持つころから遊べる「クラウン」(ドイツ・ラベンスバーガー社)

保育園で人気のカードゲーム「クラウン」
このごろ、遊びかたが変わってきたと聞きます。

クラウン(ピエロ)が体の部位別に描かれたカードを、サイコロの出目にしたがって受け取り、自分のクラウンを完成させるゲームです。

胴長だったり、顔がつぶれていたり、面白いクラウンが完成するのですが、ルールでは「いちばん背が高いクラウンが勝ち」となっています。

でも、昨今の多様性を認め合う価値観が広がってきたことや、ルッキズム(外見や身体的特徴を偏見の対象とする考え方)による人を容姿で判断する偏った見方への配慮などがあり、保育園の先生方も「背が高い=勝ちとするのはどうか?」と気になる場合があるようです。

そこで、「背が高いクラウンが勝ち」とせずに、「面白いクラウンができたね」と完成したものを楽しむだけ、勝ち負けはなしとする園もあります。

“できない”子どもでなく、“コスパ”で選んだ大人のせいかも

みんな、それぞれに良いところを持っている。性別も、年齢も、国籍も、関係なく!

おもちゃを探すとき、大人たち(両親、おじいちゃんおばあちゃん、先生方など)が、買い与える子どもをイメージしながら「あの子(たち)じゃ遊びきらんよ」「うちの子(たち)は、できんよ」と話すのを耳にすると、ぴりっと胸が痛みます。

子どもに過剰に期待するのもよくないですが、過剰に否定するのも考えもの。

特に一緒にいる子どもの前で「あんたには無理」などと親が決めつけた物言いをするとき、子どもたちはすごく悲しそうです。

子どものおもちゃ選びのポイントは「ちょっと頑張ったらできる」ぐらいのものを選ぶと、面白がれるということを覚えていてほしいなと思います。

でも大人は、なぜか子どもに挑戦させたがる!
今のその子にはかなり難しめのものを「長く遊べそう」と言って買い与えたがります。

長く遊べるかもという「コスパ重視」だけを狙ったおもちゃ選びは、だいたい失敗します。

1歳でも6歳でも遊べるおもちゃは確かにありますが、成長や興味はひとりひとり違うので、みんな同じおもちゃで長く遊ぶとは限らないからです。

あまりに難しすぎたら、どうしたらいいかわからないし、全然楽しめません。結局、遊ばなくなる。

すると「せっかく買ったのに、あんたは遊びきらんね」などと責められ…これは理不尽すぎるでしょう。

おもちゃで遊べない子どもが「できない」と責めるのでなく、子どもの今の成長にあったものを「選べなかった」大人を省みてほしいのです。

簡単すぎたときは「わあ、すごいね!今度はもっと難しいのにしてみようか」と褒めてあげて。

難しすぎたときは「少しお兄さん、お姉さん向けだったね。◌歳になったら遊ぼうか」と保留してあげてください。

「どっち?」~思春期も会話できるカードゲーム

カードゲーム「やってみたいのは、どっち?」「すきなのどっち?」(日本・トビラコ)。小学校や療育の先生にも好評です。

筑波大学附属大塚特別支援学校の佐藤義竹先生の手作り教材が製品化された「すきなのどっち?」と「やってみたいのは、どっち?」というカードゲームがあります。

質問カードがたくさん入っていて、1枚のカードに2つのイラストが描いてあります。

たとえば「すきなのどっち?」。
自分の番になったら1枚めくると、「晴れ」と「雨」が描いてあります。

一緒に遊ぶ人が「すきなのどっち?」と問いかけ、めくった人はどちらかを指さしたり、声に出したりして「こっちがすき」と伝えます。

「雨がすき」と答えたとき、周りの人は「えー、晴れでしょ」などと否定したり意見したりしないで「そうなんだ」と受け入れるのがルール。

続けて一緒に遊ぶ人は「どうして?」と尋ねます。

「なんとなく」でも「雨のにおいがすきだから」でも、理由はみんな違いますので、ここでも意見したり反論したりはなし。「そうなんだ」と受け入れて終わります。

勝ち負けはなし。
誰かの方がいい答えだったなどと比べることもなし。
あるがままの「こっち」を受け入れるゲームです。

こっちが好きでしょ!なんて決めつけないで、子どものことばを待ちましょう。意外な答えだったりして。

娘が中学生の頃、「やってみたいの、どっち?」で遊んだときにびっくりしたことがあります。

2択の選択肢を見たときに、娘はこっちを選ぶだろうなと思った方でない方を娘が指さしました。

「どうして」と尋ねると、思ってもみない答え。
えー!そんなこと考えてたの!とびっくりしました。

普段から子どもとよく話している方だと自負していた私は、少しショックでしたし、娘の新たな面を知ることができて、うれしくもありました。

イラストが可愛らしく甘すぎないので、中高生も楽しんで「こっち!」と答えてくれるカードゲームです。

◇  ◇
今回は、大人がやりがちな「くらべる」をテーマにしました。
大人だって「他のお母さんと比べて怒ってばかり」とか「◌さんのパパは強力的なのに」とか、他人と比べて言われるといやな気持ちになりますよね。

新年度はついやりがちな「くらべる」。少し意識して子どもと接してみてください。

木のおもちゃ・おひさまや

住所:福岡県糟屋郡新宮町三代西1-9-10
電話:092-985-0540
営業:11:00〜16:00(定休日:月・火・水曜)
公式Instagram:https://www.instagram.com/ohisamaya/

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プロフィール

坂本秀子(木のおもちゃ・おひさまや)のアバター
坂本秀子(木のおもちゃ・おひさまや)

福岡県糟屋郡新宮町にある「木のおもちゃ・おひさまや」店主。
ロングセラーの絵本、ドイツなどヨーロッパの木のおもちゃ・ボードゲームの専門店として店に立つ傍ら、行政主催の子育て講座や図書館でのボードゲーム会の講師として九州を飛び回っています。店は今年で20周年です!
Instagramアカウント @ohisamaya

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