保育園へ娘を迎えに行くと、帰る準備はできているのになかなか帰ろうとしません。「疲れているのかな?」と思って見ていると、ある男の子の近くを何度も行ったり来たり…。その理由が分かった瞬間、思わず笑ってしまった、娘のかわいすぎる出来事です。
なかなか帰ろうとしない娘
これは、娘が2歳のころ、保育園での出来事です。その日も仕事を終え、いつものように娘を迎えに行きました。保育園へ着くと、娘はすでに帰る準備を終えていて、リュックを背負い、帽子までかぶっています。
先生からも「今日はたくさん遊びましたよ」と聞き、私は「じゃあ帰ろうか」と娘に声を掛けました。いつもなら「はーい!」と元気良く返事をして、手をつないで玄関へ向かいます。
ところが、その日は少し様子が違いました。「帰るよ」と声をかけても、「うん!」と返事はするものの、一向にこちらへ来ません。
靴箱の前まで来たかと思うと、また教室のほうへ戻っていきます。忘れ物でもしたのかと思いましたが、先生も「全部持ってるよ」と笑います。
それなのに娘は、なぜか玄関と教室を何度も行ったり来たり。私は「今日は珍しいな」と不思議に思いながら、その様子を見守っていました。
気になる男の子の存在

しばらく見ていると、あることに気づきました。娘が戻る先には、いつも同じ男の子がいたのです。その男の子は帰る準備をしながら先生と話をしていました。娘はその子の近くまで行くと、何を話すわけでもなく少し立ち止まり、また私のところへ戻ってきます。でも数秒後には、また男の子の近くへ。そんなことを何度も繰り返していました。
「もしかして、あのお友達を待ってるの?」
そう聞いても、娘はにこにこしているだけ。その様子がおかしくて、私は思わず笑ってしまいました。先生も気づいたようで、いつも男の子が先に帰るときはバイバイとタッチをしてから帰っているんですよと教えてくれました。
「バイバイ!」の一言で満面の笑みに

その時です。男の子のお母さんがお迎えに来て、帰る準備を終えた男の子はお母さんと玄関へ向かって歩いていきました。娘は何も言わず、その子をじっと見ています。すると男の子が、娘に向かって元気よく言いました。
「バイバーイ!」
その瞬間でした。それまで少し照れたような表情をしていたような娘の顔が、ぱっと明るくなったのです。満面の笑みで、
「バイバーイ!」
と大きく手を振り返しました。その笑顔は、家ではあまり見たことがないくらいうれしそうで、目がキラキラしていました。
男の子もニコニコしながら手を振り返し、そのままお母さんと帰っていきます。その様子を見て、「なるほど、帰りたくなかった理由はこれだったんだ」とようやく理解しました。
先生も思わず笑顔に
男の子が帰った後は、不思議なくらいあっさりでした。
「じゃあ帰ろうか」と声をかけると、「うん!」と今度はすぐに私の手を握って歩き出したのです。先生も笑いながら、「最近、すごく仲良しなんですよ」「お昼ご飯も隣に座りたがるんです」と教えてくれました。
私は思わず、「そうだったんですね」と笑ってしまいました。
保育園での娘の新たな一面を知ることができて新鮮でした。子どもなりに、保育園という小さな社会の中で大切な友達ができていたのです。
子供の成長を感じた瞬間

帰り道、私は娘に何気なく聞いてみました。
「〇〇くんのこと好きなの?」
すると娘は元気よく「うん!」と答えました。
その返事があまりにも子どもらしくて、また笑ってしまいました。私が言った言葉も恋愛感情もまだ分からない年齢かもしれません。ただ、大好きなお友達といつものルーティーンを慕っただけなのかも。
それでも、「もっと一緒にいたい」「帰る前にちゃんとバイバイしたい」と思える相手がいることは、娘にとって大切な気持ちなのでしょう。これまで娘は家族以外の人にここまで感情を見せることはありませんでした。だからこそ、その日の満面の笑顔は私にとってとても新鮮で、成長を感じられる瞬間でもありました。
子どもは親が知らない場所で、少しずつ世界を広げています。友達と笑い合い、遊び、時にはけんかもしながら、自分なりの人間関係を築いているのです。保育園での数時間は、ただ預かってもらっている時間ではなく、娘にとって大切な経験の積み重ねなのだと改めて感じました。
(ファンファン福岡公式ライター/言ノ葉えり)





