私の息子は落ち着きがありません。「周りの子はみんなおとなしいのに、なぜうちの子だけ…」自分の子を周囲と比べて落ち込み、「私の子育ての何がいけなかったの?」と自分を責めていました。そんな時、4人の子どもを育てた私の母の言葉が私を救ってくれたのです。
2歳の息子はいつでもどこでも全力疾走!

私には2歳の息子がいます。初めての子育てということもあり、毎日が手探りの連続。息子は目に入るものすべてが気になるようで、いつでもどこでも走り出そうとします。制止しようとすると、床に大の字になって抵抗してくることもしばしば…息子との外出は、近所を散歩するだけでもひと苦労です。
そんなある日、近所の幼稚園で子育て講演会が開催されることを知りました。講演中は会場後方で園の先生が子どもを見ていてくれるそう。気分転換になればと思い、参加することにしました。
周りの子はみんなおとなしいのに…

当日、会場には息子と同学年の子どもたちが15人ほど集まっていました。後方ではすでに先生と遊んでいる子もいます。
しかし息子は先生に預けようとすると大泣きして拒否。どうやら人見知りをしているようでした。仕方なく私の隣の椅子に座らせましたが、案の定じっとしていられません。
そうこうしているうちに講演会がスタート。すぐに息子は私の手を振り払い、会場中を走りはじめました。私は必死に追いかけて連れ戻しました。暴れる息子を椅子に押さえつけるので精一杯で、講演内容はほとんど耳に入りません。
ふと周りを見てみると、ほかの子どもたちは親の隣におとなしく座っているか、先生と静かに遊んでいます。汗だくになって子どもを追いかけまわしている親は、私以外に見当たりません。
「なんでほかの子はおとなしくできるのにうちの子はできないの?私の子育ての何がいけなかったの?」
みじめで、悔しくて、悲しくて…周りの親子と自分たちを比べてしまい、私はもう講演会どころではありませんでした。
困り果てて母親に相談

落ち込んでいた私は、後日、母に講演会での出来事を話しました。
「私の何がいけなかったのかな…」
そう尋ねた私に、母がこんな一言を返しました。
「お母さんはね、あなたたちきょうだい4人を育てたけど、上の2人だけを育ててたらきっとごう慢で視野の狭い母親になってたと思うの」
「どういうこと?」
そう聞き返すと、母は4人きょうだいの幼少期の違いについて話してくれました。
私を含む上の2人は言うことをよく聞き、何でも自分でできる手のかからない子どもだったそう。そのため当時の母はスーパーで暴れる子や、周囲と比べてゆっくりな子を見ると
「なんであの子はあんな感じなの?親は何してるの?」と思ってしまっていたといいます。
「でも下の2人を育てて考えが変わったの」
母によると、3人目は何でもできるようになるまで時間がかかる子どもだったそう。何度教えても身につかず、悩むこともあったといいます。さらに4人目は気性が激しく、スーパーでもお構いなしに泣き叫ぶタイプ。上2人と同じように育てているはずなのに、子どもによってこんなに違うのかと驚いたそうです。
「そこでようやく気づいたの。同じように育てても、子どもにはそれぞれ個性があるんだって。今まで自分がごう慢で偏った考え方をしていたってね」
最後に母はこう言いました。
「だから息子君が走り回るのは、決してあなたのせいじゃない。それも息子君の個性なんだよ。好奇心旺盛で、元気いっぱいな子に育っているじゃない」
今では4人きょうだいはみんな立派な大人になり、それぞれ全く違った個性の持ち主になっています。私には息子の行動が「欠点」に見えていました。しかし、手がかかる子たちを立派に育て上げた母は、息子の「個性」だと捉えてくれていたのです。私は母の話を聞き、一気に肩の荷が下りた気がして涙が止まりませんでした。
周りの子と比べる必要はなかった
あの時の私は息子の行動に対し、「自分の育て方が悪かったから、周りの子のように落ち着いていられないんだ」と思っていました。
しかし母の話を聞き、子どもの行動は親の育て方だけで決まるものではなく、一人ひとりに個性があるのだと分かりました。そして、周囲と比べて一喜一憂する必要はないのだと学んだのです。
今でも息子の行動に悩むことはあります。それでも、あの日母が語ってくれた言葉は私の子育てを支えてくれる大切な教訓になっています。
(ファンファン福岡公式ライター/藤瀬りか)





