エレベーターに乗り込んできたタトゥーの男性2人組。「怖い」と思った瞬間に起きた想定外の出来事に心がほっこり

子どもと一緒に外出していると、普段よりも周囲に敏感になることがあります。安全かどうか、危なくないか。無意識のうちに、人の見た目や雰囲気で判断してしまうことも少なくありません。それは、子どもを守ろうとする親として自然な感覚なのかもしれません。

でもある日、駅前のショッピングモールでのほんの数十秒の出来事が、そんな自分の思い込みに気づかせてくれました。あのとき感じた小さな恥ずかしさと、じんわり広がった温かさを、私はきっと忘れないと思います。

目次

休日のショッピングモール、いつもの家族の時間

その日は、駅前のショッピングモールへ家族で出かけていました。特別な予定があるわけでもなく、子どもの靴を見たり、少し買い物をしたりする、いつもの休日です。館内は春休みということもあって、親子連れでにぎわっていました。

エスカレーターは混雑していたため、私たちはエレベーターを使うことにしました。扉が閉まり、中には私たち家族のほかに数人の利用者。子どもは私の隣で静かに立ち、パパはスマートフォンを確認しています。

ごく普通の、何の変哲もない時間でした。あの二人が乗り込んでくるまでは。

思わず身構えた、強面の男性二人

写真AC

エレベーターが途中の階で止まり、扉がゆっくりと開きました。そこに立っていたのは、長身でがっしりとした体格の男性が二人。

黒いパーカーにキャップ、腕にはタトゥーのような柄がちらりと見え、眉はきりっと濃く、表情は無言で引き締まっています。目線はまっすぐ前を向いているだけなのに、その鋭さが余計に迫力を増して見えました。

無言で乗り込み、エレベーターの奥に静かに立った二人。それだけなのに、存在感に圧倒されて、正直に言うと、「なんか怖い」と感じてしまいました。

隣を見ると、子どもも無言で私の手をぎゅっと握っています。
「大丈夫だよ」そう声に出さずに伝えながら、心のどこかで、「早く目的の階に着いてほしい」と思ってしまっていました。

何もされたわけではないのに、ただ見た目だけで、距離を取ろうとしていたのです。

扉の前で起きた、小さな出来事

写真AC

やがて、目的の階に到着しました。扉が開き、私は反射的に「開」ボタンを押しました。後ろにいる人たちが降りやすいようにと、いつもやっている習慣でした。

強面の男性二人が、私たちの横を通り過ぎます。その瞬間、一人の男性が私の方を向いて、軽く頭を下げながら言いました。

「ありがとうございます」

もう一人の男性も、同じように丁寧におじぎをして、静かに去っていきました。その声は、想像していたよりもずっと柔らかく、穏やかなものでした。

見た目で決めつけていたのは、自分の方だった

怖いと思っていたのは、相手が何かをしたからではなく、ただ、自分がそう感じていただけ。見た目だけで勝手に距離を作り、勝手に警戒していたのは、他でもない自分でした。

子どもは、何ごともなかったかのように、「ママ、あっち行こう」と笑っています。その無邪気な声を聞きながら、私は少しだけ恥ずかしい気持ちになりました。そして同時に、あの男性たちの丁寧な一言に、心の中でそっと感謝していました。

人は、見た目だけでは分からない

あの日の出来事は、ほんの数十秒のことでした。会話をしたわけでもなく、名前を知ったわけでもありません。それでも、あのときの「ありがとうございます」という一言は、今でもはっきりと心に残っています。

子どもを守りたいという気持ちは、親として当然のものです。でも同時に、見た目だけで人を判断してしまうことの怖さも、あの日、私は学びました。

人は、見た目だけでは分からない。その当たり前のことを、あのエレベーターの中で、改めて教えてもらった気がします。

そして今では、あのとき感じた温かさを思い出すたびに、少しだけ優しい気持ちで周りを見られるようになりました。あの日のエレベーターは、私の心の見方を少しだけ変えてくれた気がします。

(ファンファン福岡公式ライター/Happymam)

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