木のおもちゃ屋で、ひとやすみ。【第7回うたう】

赤ちゃんに大声で話しかける人はいません。やさしい声で、そっと話しかけるでしょう?
赤ちゃんにとって大事な環境のひとつに「静けさ」があります。
そのことをみんなどこかで知っているから、赤ちゃんや小さな子のからだに合わせたように、やさしく、そっと語りかけるんですね。今回は子どもと音、特に「うたうこと」についてお話します。

目次

BGMを消したら、耳が変わった!?

おひさまやはBGMを流していません。自宅ショップ時代から流してませんでした。
音楽なしで、シーンとした店内はお店っぽくなくて、最初は少し緊張を感じる人もいるかもしれませんね。
いやいや実は、私自身最初は緊張しました。
店内で、お客様と私の2人だけの時に、この「シーン…」が無性に気まずくて。
レジカウンターの陰でひそかに携帯端末を操作して、ヒーリングミュージックを小さく流したこともありました。

でもBGMなしで数か月経つと、私の耳が変わってきました。
おもちゃの音や空調の音、お客さんの声のトーンなど些細な音に気づけるようになりました。
「あれ?ビー玉がレールを転がるリズムが少しいつもと違うな?」と思って、店内の木のおもちゃのサンプルを見に行くとレールの継ぎ目が少し緩くなっていたり、「子どもさんの息遣いがいつもより荒いような?」と思って店内のお子さんのようすをみてみると、明らかにおしっこを我慢してるしぐさ…でもまだ遊びたくて困ってるような、あの感じ!
小さなことだけど、BGMが流れていると聞こえなかった音やようすをキャッチできるようになりました。

おもちゃの音だけが響くおひさまや店内。BGMはありませんので、お向かいのワンちゃんの鳴き声や外の鳥の声も聞こえます。

鼻歌をうたう人が増えました

そして面白いことに、店内で鼻歌をうたう人がぐんと増えたんです。
おもちゃの棚を見ておもちゃを選びながら、鼻歌をうたってる大人。
店内のサンプルで遊びながら、鼻歌をうたう子どもたち。
「ねえ、何うたってるの」とパパさんに言われて「えっ?私、いま歌ってた?」と驚くママさん。

それだけリラックスできる空間になったんだ、と嬉しくなります。
この話を木のおもちゃ屋さんの先輩にしたとき、
「すごいことだね!気づかないほど集中してるってことだよね。いいお店だよ」と言われて嬉しかったです。

鼻歌大歓迎ですよ!静かな空間で、ゆっくりおもちゃを見ていただきたいのでBGMなしです。

子どもとの暮らしの中で自然にうたう

子育て講座や研修で講師とお招きいただいた時に「子どもと歌いましょう」と言うと
「わらべうたの勉強はどこでできますか」とか
「童謡をあんまり知らないんですが」とか、みなさんとても気合を入れすぎるようです。
もっと気軽に、車の中やお風呂の中で、または子どもに何か伝える時に自作のメロディに言葉をのせてうたってみてください。

私は子どもが小さいときによくこの手を使いました。
私「さぁさぁ、お風呂の時間だよぉ♬」
息子「まだ遊びたい」
私「お風呂でいっしょにあそびましょう♪」
息子「レールで遊びたいからヤダ!」
私「ぽっぽー、ぽっぽー、りゅうちゃんのぽんぽんはここですよ~♬」
と、ふざけながらお腹をくすぐり、大笑いする子を抱えてお風呂場へ。
うまくいかないことももちろんありますが、こちらのイライラを若干抑えてくれるような気もします。

図書館や書店に、わらべうたの本や絵本がたくさんあります。保育者向けも家庭におすすめです。

「音痴が遺伝する」と決めつけないで

「自分は音痴だから(歌が得意じゃないから)子どもにはきちんとした音を聞かせたい」と仰る方がいらして、YouTubeや音源をBGMのようにずっと流して子どもに聞かせている、とお聞きすることがあります。

でも、大丈夫なんです。
「親が音痴だから子どもも音痴」と決めつけないでください。
行動遺伝学者の安藤寿康先生によれば、音楽やうたに触れる機会があるかどうか、音楽を楽しむ環境があるかどうかなど「すごしかた」が大きく影響するそうです。

これは決して、音楽教室に幼いころから通わせて訓練しろと言う意味ではありません。

音痴だろうが何だろうが、親子で楽しく歌う
お母さんやお父さんが子どもに向かって気分よくうたを歌ってくれる。
コップに水を貼っておはしでたたくと音階がかわるあそび。
本物の楽器を演奏しているところへお出かけしてみる。

こんな音楽体験や歌うひとときは、子どもにとって嬉しく、幸せな時間でしょう。
まさに「音」を「楽」しむ、音楽だと言えるでしょう。

ドイツ・ミュンヘンの幼稚園にあった楽器。好きなものを使いながら歌を歌っていました。打楽器は幼い子も扱いやすいのでおすすめです。

わらべうたは、わらべのうた。自由でいい。

わらべうたは子どもたちの暮らしの中から生まれました。
遊んでいたら、もう夕方。
家に帰らないといけないけれど、なんだか寂しい。じゃあね、と変えるところをわざわざ歌いました。
♪からすが鳴くから かーえろ

童謡は、音楽家が子どものために作詞作曲したものです。
夕方になったら家にかえらなければなりませんよ。と、大人の目線で子どもに伝えています。
♪おててつないでみなかえろう からすといっしょにかえりましょう

わらべうたは地域によってことばやメロディ、言い回しが変わります。
自由でいいのです。
わらべうたの本を見ると楽譜がないものも多いですね。
リズム(拍子)だけで自由にうたってみてください。
わが家だけのわらべうたがあってもいいと思います。

では、私もこのへんで失礼します。

♪さよなら あんころもち また きなこ!

木のおもちゃ・おひさまや

住所:福岡県糟屋郡新宮町三代西1-9-10
電話:092-985-0540
営業:11:00〜16:00(定休日:月・火・水曜)
URL:https://www.instagram.com/ohisamaya



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プロフィール

坂本秀子(木のおもちゃ・おひさまや)のアバター
坂本秀子(木のおもちゃ・おひさまや)

福岡県糟屋郡新宮町にある「木のおもちゃ・おひさまや」店主。
ロングセラーの絵本、ドイツなどヨーロッパの木のおもちゃ・ボードゲームの専門店として店に立つ傍ら、行政主催の子育て講座や図書館でのボードゲーム会の講師として九州を飛び回っています。店は今年で20周年です!
Instagramアカウント @ohisamaya

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