子どもが幼稚園に通っていた頃のお話です。アットホームな幼稚園で子どもはのびのびと遊び、私もたくさんの気の合うママ友に恵まれ、楽しい幼稚園ママライフを満喫していました。その中でも印象的だったあるママにドン引きした話を聞いてください。
どうしてそんなに詳しいの?

「〇〇ちゃんパパ、この前○○ショッピングモールで見かけたよ」
「△△ちゃんパパ、▼▼レストランのシェフって本当?」
園の行事で会うたびに、そんな話題を次々と振ってくるママ(Aさん)がいました。
Aさんは幼稚園のバスでお子さんが通園しているらしく、降園後に園庭で子どもを遊ばせながら一緒に立ち話をすることはありません。
時々しか顔を合わせない彼女の話の大半はなぜかお友達のパパの話題ばかりです。家族ぐるみでお付き合いがあるのだろうと思っていたのですが、なぜか話しかけられたママ友は困惑顔。
(あれ?話しかけられたママ友の様子がおかしい…)
なんとなく聞いてみると「その日パパは確かに○○ショッピングモールに出掛けたよ。でも子どもも私(ママ)もいないのになんで分かったんだろう?幼稚園以外で会ったことはないけど、行事にはよく出てくれるからその時に顔を覚えてのかな?」と頭をひねっていました。
お友達パパって覚えているものですか?
「そうなんだ。すごいね!よく知っているね!」
そういわれてAさんは少し得意そうな表情です。
大多数のママ友たちが笑って返しながらも、「どうしてわかるの?」「パパと話したことないよね?」と違和感を感じていたようでした。
私は他の家庭のパパと会う機会はほとんどありません。幼稚園の行事に参加しても余程印象深いパパでないと記憶に残らないです。
ましてや幼稚園以外の場所で、しかも見かけたくらいでは気づくことはないでしょうし、誰のパパかなんて分らないと断言できます。
「どうしてそんなに詳しいのだろう?」と不思議に思っていました。
夫の口から出てきた名前にビックリ

やがて子どもは卒園し、小学校・中学校の学区が違っていたこともありAさんのこともすっかり忘れていました。ところが、卒園から15年ほど経ったある日、夫が突然こう聞いてきたのです。
「ねえ、××君って子知っている?同じ幼稚園に通っていた?Aさんって覚えてる?」
思いがけない名前に驚いていると、さらに夫が続けます。
「今日、買い物していたら急に声をかけられたんだよ」
戸惑いつつも私に事実確認をしてくる夫。
「◎◎君のパパですよね。同じ幼稚園に通っていた××の母です」
と親しげに声をかけてきたと言うのです。
まさか、まだ覚えていたなんて
その瞬間、幼稚園時代に何度も聞かされた「〇〇ちゃんのパパ情報」が一気によみがえりました。子どもが幼稚園に在籍していた3年間、夫は仕事が忙しくて幼稚園の行事にほとんど参加できませんでした。
Aさんとは家が近いわけでもなく、幼稚園以外で面識があるとは思えません。家族で出かけた先で会ったことも皆無です。
しかも夫は15年前と比べて見た目が大きく変わっているので、どうしてうちのパパだと分かったのか疑問しか残りません。
「あの人、ほとんど園に来なかったうちのパパのことまで把握していたんだ…」
そう思った途端、当時ママ友がこっそり言っていた言葉が頭をよぎります。
「誰にも言わないでね。Aさん悪い人じゃないとは思うんだけど、いろんなパパのことに詳しすぎて、なんだか薄気味悪いんだよね」
当時は「考えすぎじゃない?」くらいに思っていました。
でも、卒園から15年。初対面でしかもだいぶ見た目の変わった私の夫を見て息子の名前を言い当て、とても親しげに話しかけられたと聞き「あのママ友が言っていたのはこういう事だったんだ」と背筋がゾッとしました。
今も謎のまま

Aさんが記憶力が抜群なだけなのか、人のことに興味があるだけなのか、それは分かりません。ただ、15年も前に幼稚園で一緒だった子どものパパを覚えていて、しかも迷わず声をかけるなんて私には到底できません。
しかも、うちの子と××君は仲が良かったわけでもなく、私自身もそのママと親しかったわけではないのです。子どもが同じ幼稚園に通っていて、顔を知っている程度なのに「どうしてそこまで覚えているの?」という疑問だけが残りました。
パパに興味があったのか、それとも人のことを細かく覚えてしまう人なのか。真相は今も分かりませんが、私にとって忘れられないドン引きエピソードです。
(ファンファン福岡公式ライター/ひとみ)





