娘が通っていた幼稚園は、「在籍中必ず1度は保護者会の役員を引き受けなければならない」という暗黙のルールがありました。毎年春の懇談会は、役員決めで壮絶な争いが起きます。そんな役員決めの会議で、私が目にした地獄のような光景をご紹介します。
一人のママが会長に選ばれたのが悲劇の始まり

保護者会の役員決めについて、暗黙のルールがあった幼稚園。
私は情報通のママ友から聞いていたので、年中組のときに役員を終わらせてしまいました。そうでないと、年長組の役員決めに巻き込まれたら大変だと思ったからです。
いよいよ訪れた、年長組での役員決めの日。
私は経験者で、今年選ばれることはないため余裕の表情。しかし、隣に座っていたママAさんはずっと下を向いたままでした。
Aさんとは挨拶はするものの、そこまで親しい間柄ではありません。でも、あまりに顔色が悪いので尋ねてみると
「絶対役員なんてやりたくないので…」と小さな声で言うのです!
Aさんの消極的姿勢にびっくりしていたなか、役員決めがスタートしました。
やはり立候補者が不在だったため、未経験者でクジを行うことに。
そこでまさかの事態が!
なんと私の隣に座っていたAさんが引いたクジの紙には「会長」と書いてあったのです。
Aさんはみるみる顔が赤くなり、涙目になっていきました。
それまでおとなしく下を向いていたAさんが突然立ち上がり、大きな声で涙を浮かべながら
「私は会長なんて無理!そもそも、仕事をしているので役員なんてできませんし、向いていませんから無理です!」と言い出したのです。
普段はおとなしい性格のママだっただけに、私もびっくり。
周りはすっかりシラケムードでしたが、彼女は構わず
「絶対嫌!無理無理!」と首を何度も横に振り、泣きながら訴えました。顔はこわばり、感情的になっているせいか悲鳴のようにも聞こえます。
会長経験者が一言

そんななか、上の子のときに会長職を引き受けた“ボスママ”がスッと立ち上がり、泣き喚くAさんへピシャリ!
「仕事なんて理由にならないでしょ!みんな仕事をしながら頑張ってるのよ。あなただけ特別扱いはできない。クジ引きで決めたんだから、今さら嫌だなんて単なるわがままよ!」
超美人でいつも堂々としているボスママ。
彼女の放ったきつい言葉にその場は凍り付きましたが、やはり納得のいかないAさんはなんとか逃れようとし、泣いて怒って金切り声を上げる始末。
見るに見かねた先生が別室へ連れて行き、泣き喚くAさんを落ち着かせることに…。
そんな状況に、待っている私たちの空気もピリピリムード。それを察してか、園長先生が現れ
「話がまとまりそうにないから」と、その日は解散することになりました。
数日後、会長職を別の人に…という話は通らなかったようで、役員総会に「会長」として紹介されていた例のAさん。
顔は引きつり、声を震わせ挨拶をしていました。
挙句、周りのママたちの心象は最悪で、しばらく送迎時の話は役員決めのネタで持ち切りでしたね。
会長職はやっぱり「できる人」を選ぶべき?

数カ月後、運動会の開会の挨拶をする会長Aさんを見た私は、「会長職はクジで決めちゃいけないな…」と思いました。
なぜなら、皆の前で話す彼女の手は震え、涙目でじーっとカンペの紙を見ながらしゃべっていたからです。
人前で話すことに慣れていなかったんでしょう…。ボソボソしゃべる会長の言葉に、子どもたちもぽか~んとした顔で眺めていました。他の保護者はザワザワ。
楽しいはずの運動会なのに、なんだかお通夜の挨拶のような感じがしました。
幼稚園の父母会は、嫌なイメージを持つ人も多いですが、やってみると意外と楽しいもの。
私にとっては、ママ友の輪が広がり、園の先生とも親しくなれるチャンスでした。
役員に決まってしまったものは仕方ない。幼稚園に入園した以上、そこは腹をくくって子どものために頑張ることも必要だと思った出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター / なないろさん)





