私は女の子、友人のAは男の子を出産しました。元々、女の子を希望していたAは「女の子は楽でいいよね」「男の子は大変」と性別が判明した時から話していました。2年後、第二子で女の子を出産したAの育児は…。
嬉しいはずなのに…喜べない友だちとの同時期出産
私が第一子を妊娠していた頃、友人のAも同時期に妊娠していました。Aは高校からの友人で付き合いは10年以上。独身時代は2人でよく飲みに行ったり、旅行に出かけたりしていました。
しかし、赤ちゃんの性別が分かった瞬間から、Aの様子が変わりました。私のお腹には女の子、Aお腹には男の子がいるとわかり、もともと女の子を希望していたAは、事あるごとに私にこう言うようになったのです。
「女の子は育児が楽でいいなぁ。男の子はほんと大変だよ」
悪気はないのだろうと分かっていても、正直、何度も聞かされるとちょっと複雑な気持ちになりました。なぜなら、お互いに第一子を妊娠中だからです。男の子と女の子の育児の違いなんて、実際に体験したことがありませんでした。
まさかの逆転劇、活発な娘とおとなしい息子

そして迎えた出産。
生まれてきた私の娘・ナナ(仮称)は超活発なタイプでした。お世辞にも「落ち着きがある」とは言えず、元保育士の義母にも「男の子みたいな元気さと遊び方だね」と言われました。
一方、Aの息子はというと、驚くほどおとなしい性格でした。「男の子は大変」と言っていたはずなのに、実際に子育てが始まってみると、一緒に出かけてもAの息子くんの方が、泣いたり癇癪を起こしたりせず、食事の時も移動の時も落ち着いて過ごしていました。
正直、私はちょっとだけ羨ましさを感じていました。それでもAは変わらず「男の子ってやっぱり大変だよね」と話し続けていました。外では大人しくて、家の中では活発なタイプなのかも知れないと思い、私はいつも黙って聞いていました。
「今度こそ」のはずが、まさかの立場逆転
そんなAに転機が訪れたのは、第二子を出産してからです。生まれたのは待望の女の子でした。「今度こそ育てやすいといいな〜」Aは私にそう話していました。
ところが実際は、ナナよりもさらにこだわりが強く、お出かけ先でも思い通りにならないと大泣きして寝転んでしまうタイプの子どもでした。
Aは会うたびに「ねぇ、ナナちゃんもこだわり強かった時期あったよね?どうやって乗り越えたの?」「お出かけの時ってどうしてた?」と、真剣な顔で聞いてくるようになりました。
かつて「女の子は楽」と言い切っていた本人が、私に育児のコツを聞く側になる。しかもその顔には、以前の発言をちょっと気まずそうに振り返るような表情も見えて、私は思わずツッコミを入れたくなりました。「え、あの時のAはどこ行った?」と。
そして私自身、Aとのやり取りや保育園に通うママ友と話す中で、気づいたことがありました。「うちの子、落ち着きがないんです」と話すたびに、実はもっと活発な子、もっとこだわりの強い子が周りにたくさんいることを知りました。ナナの活発さも、Aの下の子のこだわりの強さも、実は「普通」の範囲だったのです。
「男の子だから」を卒業した日

あれから、私とAの会話は変わりました。「男の子だから」「女の子だから」という枕詞は、いつの間にか消えていました。代わりによく使うようになったのは、「うちの子の場合は」という言葉です。
第一子を必死に育てる中で、私は余裕を見失い、「当たり前」の育児像を探していたのだと思います。それはAも同じだったのかもしれません。
性別で決めつけていたAも、黙って聞いていただけの私も、今では「うちの子はどんな子か」を見るようになりました。子育ては、性別だけではかれない。それを教えてくれたのは、他でもないAでした。
(ファンファン福岡公式ライター/高谷さな)





