私が小学生だったころ。ある年の運動会では、母と一緒にお昼を食べる約束をしていました。しかし、共働きで忙しかった両親。母に急な仕事が入り、私は一人でお弁当を食べることに。寂しさを感じていたそのとき、思いがけない人に救われました。
楽しみにしていた運動会

私が小学生だった頃、両親は共働きでいつも忙しくしていました。父は仕事の都合で学校行事に来られないことが多かったのですが、母は仕事の予定を調整しながら、できる限り参加してくれていました。
そんなある年の運動会。私は母と一緒にお昼ご飯を食べる約束をしていました。運動会といえば競技を頑張るのはもちろん、お昼に家族と食べるお弁当も楽しみの一つ。
「お昼はお母さんと一緒に食べられる!」
そう思うと午前中の競技もいつも以上に頑張れた気がします。ところが、楽しみにしていたお昼の時間が近づいたころ、思いがけないことが起こったのです。
午前中の競技も終わりに近づいてきたころ、母が応援席から手招きしているのが見えます。嫌な予感がしながら母の元に行くと、
「ごめん、仕事に呼ばれたから行ってくる。このお弁当食べてね」と一人で食べるには大きいお弁当を渡されました。
もちろん、母がわざと約束を破ったわけではありません。仕事だから仕方がないことも分かっていました。それでも楽しみにしていた分、寂しい気持ちは隠せませんでした。
肩をたたかれて振り返ると…

午前中の競技が終わり、お昼休みになりました。
周りを見渡すと、友達は家族と一緒にお弁当を広げはじめています。楽しそうな笑い声が聞こえてくる中、一人きりの私はお弁当を持ってどこで食べようかと考えていました。
せっかくの運動会なのに、お昼の時間がこんなに寂しいものになるなんて…。私は少しうつむきながら移動し、テントの隅で一人でお弁当を食べることにしました。
お弁当を広げようとしたそのときです。
突然、後ろから肩をたたかれました。振り返ると、いつも私をかわいがってくれていた叔父夫婦が立っていました。
「一緒にお昼を食べよう!」
そう声をかけてくれた二人の顔を見た瞬間、私は驚きと嬉しさでいっぱいになりました。まさか、二人が来てくれるなんて思ってもいなかったのです。
叔父夫婦は私のそばに座ってお弁当を広げながら、いつもと変わらない様子で話してくれました。午前中の競技のことを聞いてくれたり、頑張ったねと褒めてくれたり。
さっきまで一人で寂しくお弁当を食べようとしていたのが噓のように、楽しい時間になりました。二人が来てくれたことで、私の心はすっかり明るくなったのです。
午後の親子競技でまさかの大活躍!

お昼休みが終わる頃、私は午後の親子競技のことを思い出しました。本来なら母と参加する予定でした。すると、叔父が
「じゃあ、おじちゃんが代わりに出ようか!」と言ってくれたのです。
実は叔父、運動神経がいいのです。もしかして1位になれるんじゃないかと期待に胸を膨らませました。
競技が始まると、叔父は見事な活躍を見せてくれました。二人で息を合わせて走り、周りの親子と競いながら、どんどんゴールへと近づいていきます。そして、結果はなんと1位!
「やったー!」
嬉しくて、私は思わず飛び跳ねてしまいました。
一人でお弁当を食べることになると思っていた午前中とは打って変わって、午後はうれしい時間になりました。叔父と一緒に喜び合った瞬間は、今でも心に残っています。
忘れられない思い出に
叔父夫婦が来てくれたおかげで、一人ぼっちのお昼休みは、笑顔でいっぱいの時間に変わりました。一緒にお弁当を食べてくれただけでなく、親子競技にも参加してくれた叔父。子どもの頃の私にとって二人が来てくれたことは何より心強く、嬉しい出来事でした。
一人で食べるはずだったお弁当が、楽しい思い出になったこと。親子競技で1位になれたこと。そして運動会が終わって家で両親と今日の思い出を笑顔で話せたこと。
運動会の思い出を振り返るたびに、私を笑顔にしてくれた叔父夫婦への感謝の気持ちがよみがえります。あの日、そばにいてくれた二人の優しさは、大人になった今でも私の心を温かくしてくれる大切な思い出です。
(ファンファン福岡公式ライター/言ノ葉 えり)





