念願のマイホーム購入から1年。穏やかな暮らしを一変させたのは、裏の家との境界に取り付けられた一枚の波板でした。ご近所との距離感に悩み、庭に出ることさえ苦痛になった私が、費用をかけて環境を整え、心の平穏を取り戻すまでの体験談をご紹介します。
平穏な暮らしを変えた境界フェンス

新興住宅地に念願のマイホームを購入し、戸建てが並ぶ街で家族と穏やかな日々を過ごして、1年ほどが経った頃のことです。ある日の夕方、仕事を終えて家に帰り、ふと庭に目をやった私は思わず目を疑いました。
「えっ…なにこれ?」
なんと、裏の家との境界にあるフェンスに、波板が取り付けられていたのです。しかもその波板が張られていたのは、わが家側。事前の相談や説明はなく、突然変わってしまった庭の景色に戸惑いました。
裏の家の奥様とは、これまで会話らしい会話をしたことがなく、こちらから挨拶をしても返してもらえないことが続いていました。少し距離を感じていた相手だっただけに、不安はさらに大きくなりました。
ご近所と揉めることだけは絶対に避けたいけれど、さすがにこれは放置できない。そう思った私は、すぐにトラブル対応も行っている分譲地の管理会社(販売会社)に相談することにしました。「管理会社に間に入ってもらえれば、すぐに解決するはず」と軽く考えていたのです。
管理会社に相談するも解決せず…波板による被害と募るストレス

しかし、管理会社からの回答は期待していたものとは違いました。
「フェンスの所有者が裏の家であるため、こちらから撤去を求めることは難しい」とのこと。すぐに解決できると思っていただけに、どうしていいのか分からなくなりました。
波板は針金で簡易的に留められているだけで、風が吹くたびに大きな音を立てて激しく揺れていました。そしてある日、強風で針金が切れて外れた波板が、わが家の外壁に直撃してしまったのです。
本当なら撤去してほしいのが本音でしたが、これ以上ご近所関係をこじらせたくありません。悩んだ末、「危険なので、設置するなら固定だけはしっかりお願いします」と夫から伝えてもらいました。
せっかく作った大好きな庭なのに、「鉢合わせたら嫌だな」と思うと気を遣い、次第に庭に出ることさえできなくなっていきました。
波板問題から解放されるために選んだ決断

毎日、庭に出るたびに波板が目に入り、そのたびに気持ちが沈んでいました。買ったばかりのマイホームを手放すことなどできるはずもなく、このままストレスを抱えて暮らし続けるのはもう限界だと感じた私は、ある決断をしました。
それは、わが家側の敷地に新しいフェンスを建て、裏の家の波板が視界に入らないよう完全に隠してしまうことでした。
安くはない費用でしたが、設置が終わってみると効果は想像以上でした。あんなに憂鬱だった波板が視界から消え、顔を合わせるかもしれないという不安からも解放されたのです。それだけで、肩の荷がすーっと軽くなっていくのが分かりました。
もちろん、フェンスを設置したからといって、すべての悩みが消えたわけではありません。それでも、「自分の家で安心して過ごせる場所を取り戻せた」という感覚があり、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していきました。
そんなある日、別のご近所さんから「同じようなご近所トラブルで悩んでいる人がいる」と聞き、自分だけが抱えていた問題ではなかったのだと知りました。ずっと「私が何か気に障るようなことをしてしまったのかな…」と自分を責めていたので、その言葉を聞いたときは少しホッとしたのを覚えています。
ご近所トラブルで学んだ、自分と家族を守るための選択
ご近所トラブルは、小さな出来事に見えても、積み重なることで心の余裕を少しずつ奪っていきます。相手を変えることは簡単ではありません。私が選んだのは、自分たちが安心して暮らせる環境を整えることでした。
新しいフェンスを立てたことで、今では以前のように庭で過ごす時間を楽しめるようになり、心の平穏を取り戻しています。日常でも、ゴミ出しの時間を少しずらすなど、無理のない距離感を保ちながら生活しています。
あの時我慢し続けずに、自分と家族が穏やかに暮らせる方法を選んで、本当に良かったと感じています。
(ファンファン福岡公式ライター/池田成美)





