夫の仕事の都合上、やむを得ず3月に引っ越しをすることになりました。ところが引っ越し当日、指定の時間を過ぎても引っ越し業者がなかなか来ないのです。しまいには大切にしていた家具を壊されてしまう始末。怒りを抑え切れなくなった私の前に、予想だにしない救世主が現れたのです。
時間になってもなかなか来ない引っ越し業者

引っ越しシーズンの3月。夫の転勤が決まり、私たちは引っ越しをすることになりました。引っ越し当日、到着時刻は前後することがあると聞いてはいたものの、予定時刻から2時間が経過しても引っ越し業者からの連絡はありませんでした。こちらからも連絡しましたが、留守電になってしまい連絡がつきません。その後40分が経過し、ようやく折り返しがありました。
担当者は「連絡が遅くなり申し訳ないです。間もなく到着しますので」とだけ言って、遅延についての謝罪もなければ、遅れた理由も不明なままでした。普段は穏やかな夫も待っている間に怒りが湧いてきたのか、「なんだって?」と少し強めの口調で聞いてきました。繁忙期ということもあり、ここまでは私も大目にみようという気持ちがありました。
引っ越し業者の犯した致命的なミス

担当者は20代後半くらいの男性で、当時の私たちとそんなに変わらないようにみえました。私は「新卒じゃああるまいし、謝罪の仕方も知らないのか」と思いましたが、早く作業をしてほしいという気持ちが勝り言葉を飲み込みました。
作業人数は2人。荷物を運び入れる前の養生テープを貼る作業に1時間くらいの時間を要しました。そしていざマンションに家具を運び入れようとした時、ペリペリッという音と共に保護シートが倒れてきました。それに驚いた補佐は、私が大事にしていたラックをエントランスのドアに思い切りぶつけたのです。
「え!ちょっと!!」と私が叫ぶと、担当者と夫が慌てて部屋から出てきました。私が恐る恐る見に行くと、棚のはしごの部分の板が折れてしまっていました。「はー。お気に入りだったのに。遅れてきた上に仕事もできないんですか?」私の怒りは沸点をとうに超えていました。夫が私を落ち着かせようとするも手に負えません。するとそこに、意外な人物がやってきました。
予想外の人物の登場により事態は収束

現れたのは、引っ越し先のマンションの住人とおぼしき男性です。
「どうしましたか?何か…わー、これはやっちゃいまいしたね」と言うと、どこかに電話をかけ始めました。「あ、もしもし、〇〇ですけど。ええ、お久しぶりです」誰かと親しげに話す得体のしれない彼に、その場にいた誰もが釘付けになっていました。
「突然申し訳ないです。僕、〇〇(引っ越し業者)の元社員でここの住人の△△と申します。もちろん会社の方で修理代を弁償させていただくのですが、このくらいだったら、このあと修理してきますよ。あと、引っ越し代も割引しておきました」と彼は言いました
私も夫も、引っ越しの担当者と補佐の子も、目の前で何が起きているのか理解できず唖然としていました。そのあと冷静になって話を聞いてみると、引っ越し業者の元社員であるという彼は現在、リフォーム会社を経営しているらしく、私たちの棚を修理してくれるというのです。さらには、どういう権限があるのか引っ越し費用も割引交渉してくれ、安くなりました。
その後、引っ越し業者の二人は彼にお礼をし、私たちに丁寧に謝罪をしました。そこからは、元社員の彼が手伝ってくれたおかげで作業は1時間ほどで完了しました。
繁忙期の引っ越し業者
元社員の彼のおかげで、私たちの引っ越しは無事に終わりました。
結果的に引っ越し代が安く済んだ上に、マンションに知り合いもできました。家具も一度壊れたとは思えないほど元通りになり、10年経った今でも気に入って使っています。元引っ越し業者の彼はきっと神様が寄越してくれた使者なのではないかと思うことがあります。今では繁忙期の引っ越し業者を見かける度に、懐かしくも微笑ましい気持ちになっています。
(ファンファン福岡公式ライター /W.M)





