私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

開かない…
開かない…
暗い蔵の中、なにかに急かされるような気がして、焦って函を開けようとしていた。
あっ、少し蓋が動いた!これで…
「大丈夫かい?ずいぶんうなされていたよ」
祖母の声で目を覚ました。
寝汗をびっしょりかいていた。

「夢か…もう少しで開きそうだったのに」
「開くって?」
「この何日か、函を開けようとする同じ夢を見るんだ。蔵の中で古い真っ黒な木の函を開けてるんだけど…」
「その函には紙が貼ってなかった?」
「あったよ。○に十みたいな印を書いた紙が」
「函は開けなかったんだね?」
「うん。でももう少しで開きそうだったんだよ」
そこまで聞いた祖母は顔色を変えた。

バタバタと手紙や帳面を調べていたと思うと、どこかに電話をかけた。
先方に挨拶を述べた後、祖母はこう聞いた。
「あの函はまだそちらにありますよね?ちょっと見ていただきたいのですが」
調べてかけなおすとの返事に電話を切り、しばらく待っているとベルが鳴った。
「はい。やはり…ではよろしくお願いします」

祖母の説明によると夢に出てきた函は、昔親戚の蔵の中にあったものだという。
「その函を開けると災いがあると伝わっていてね。触らないようにしてたんだけど…幾人かは知らずに開けて、病にかかったり事故に遭ったりしたんだよ。捨てるとさらに悪いことが起こるんじゃないかと皆困ってしまってね。結局お寺さんに納めてもらったの。あなたの夢で厭な感じがしたので調べてもらったら、封じたお札が剝がれかかっていたそうだよ。新しいお札を貼ってもらったから、もう夢は見ないよ。安心安心」
祖母の言った通り、函の夢は今日まで見ていない。





チョコ太郎より
過去、この「函」に関する話を書く度に原因不明の高熱に襲われました。今回の再アップもびくびくしながら行っています。
初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。
