私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

「ガサガサ、ゴトゴト」
雨が続いていたある日、床の下から音がした。
何だろうと思った祖母は、勇敢にも縁の下に入って行った。

そこは十歳の祖母には暗闇にどこまでも広がる不思議な空間だった。
目が慣れてくると、たしかに何かがいる。
息を潜めて近づこうとすると、こっちを見る目が光った。
「ザッ!」
犬のようなものが逃げて行った。

それから数日後、また音が聞こえた。
今度は潜らず、入口に芋を置いて待った。
五分、十分…出てきた!
それはたいそう痩せた子狸だった。
可哀想に思った祖母は自分が食べるつもりだった分の芋まで与え
「人に見られると獲られるから、早くお帰り!」と話しかけた。
すると子狸は食べるのをやめ、祖母の顔を見ながら口を開いた。

「デモ…アメ」
祖母は確かにそう聞いた。
狸は雨が嫌いで、雨の日は巣から出ない習性があるそうだ。
祖母がお嫁に行くまで、雨が降るとたびたび狸はやってきたという。

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初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。
