運動会の年長クラスの演技といえば、保護者にとっても感動的な大イベントです。そんな年長クラスのメイン演技の練習に、集団での活動が苦手な息子は参加できずにいました。本番での演技に参加できないという悲しい結末も覚悟したある日、ふとしたことがきっかけで息子は演技の練習に参加するようになったのです。
演技の練習に参加できない息子

もともと集団行動が苦手な息子は、運動会の練習が始まると「保育園に行きたくない!」と言い出すようになりました。年長クラスの演技は、大きな旗を振ってみんなと動きを合わせるカラーガードです。息の合った動きが見どころのパフォーマンスなので、何度も練習する必要がありました。しかし息子はカラーガードの練習を拒否。演技練習の日は決まって、園庭の砂場で先生と過ごすようになりました。
保育園のお迎えに行くと、「今日も砂場で遊びました」という報告ばかり。先生もあれこれ工夫して、練習に参加できるよう試みるのですが、息子はやはり断固拒否。運動会が近づくと、先生は「お母さん、ごめんなさい」と私に謝ってきました。最悪の場合、息子はカラーガードに参加できないかもしれないと申し訳なさそうに言うのです。
これまでの保育園行事でも、参加できるか毎回ハラハラしてきました。もしかすると、カラーガードの演技は出場できないのではと思っていたので、諦めはついていました。無理強いはできないので、ありのままを受け入れるしかありません。
息子の気持ちを変えたのは…

運動会が目前に迫っているにもかかわらず、先生は息子の演技参加を諦めていませんでした。成長した姿を家族に見てもらいたいという熱い想いのもと、さまざまなアプローチで息子を練習へ誘います。ある日先生は、息子に
「カラーガードを頑張ったら、ママは感動して泣くかもしれないよ!」と声をかけたようなのです。
保育園の帰り道。
「感動したらママは泣くの?」と息子から聞かれたので、
「頑張っている姿を見たら、ママは泣いてしまうよ」と何気ない会話を交わしました。
「自分が頑張るとママが感動して泣く」という言葉が心に響いたようで、翌日から息子はカラーガードの練習に参加し始めたのです。様子が変わった息子に、先生も大喜び。先生は「ママを泣かせよう作戦!」と題して、遅れを取り戻すべく息子の演技練習をスタートさせました。
当日の演技にみんなが涙

快晴の運動会当日。トップバッターを飾るのは、年長クラスのカラーガードです。息子をサポートしてくれる先生のおかげもあって、短い練習時間とは思えないほどスムーズに演技を披露してくれました。
いつも参加できるかどうか心配でドキドキしていた保育園行事。年長の秋、息子は大きな成長を見せてくれたのです。撮影スポットでビデオカメラを構える私は、ファインダー越しに頑張る息子の姿が見えなくなるくらい泣いてしまいました。後日聞いた話では、演技を見守る先生も感動のあまり涙したとか。
運動会が終わり、「ママ泣いた?」と嬉しそうに駆け寄る息子に、落ち着いたはずの涙腺がまた決壊。息子の「ママを泣かせよう作戦!」は大成功のもと幕を下ろしました。
(ファンファン福岡公式ライター/kotone)


