私がせわしなく家事や育児をがんばっていると、夫は微笑みながら「無理しなくていいよ」と言います。一見、優しく聞こえるこの言葉が私は大嫌いでした。とある人物が夫と同じセリフを言った後に取った行動に私は感動…夫は変わりました。
優しい夫に感じ始めたモヤモヤ

夫は穏やかな性格で、交際中に誕生日や記念日に私が張り切って料理を振る舞うと
「ありがとう。でも無理しなくていいからね」と気遣ってくれるような人でした。
まるで口癖のように、夫は事あるごとにこの「無理しなくていいよ」を言い、私はそんな夫を優しい人だと思っていたのです。
しかしその考えは、娘の出産を機に大きく変わりました。夫に「無理しなくていいよ」と言われるたび、胸の奥になんとも言えないモヤモヤしたものが広がるようになったからです。
我慢の限界を迎え…

私が一晩中子どもの夜泣きに対応した朝、ぐったりしてソファーに座っていると、部屋が散らかっている様子が目に入りました。ため息交じりに「片付けなきゃ…」と言うと、それを聞いた夫は出勤の準備をしながら「無理しなくていいよ」と、いつものように私に微笑みかけます。
「行ってくるね」と玄関に向かう夫の背中を見ながら
「無理しなくていいって言われても…。じゃあ、この片付けは誰がするの?」と私は呟いていました。
洗われずに積まれたままの洗濯物を見ても、萎れた観葉植物を見ても、夫は私に「無理しなくていいよ」とは言っても自分はテレビやスマホを見るだけで「俺が洗濯しておくね」「水遣りしておくね」とは言いません。
そして、子どもが市販の離乳食をまったく受け付けず、手作りしか食べてくれなかったとき、私は限界を迎えました。
食材をやわらかく炊いて、ドロドロにすり潰す作業に、極度の寝不足と疲労が積み重なりボロボロだった私は、つらくてしようがありませんでした。ようやく離乳食を作ってヨタヨタとリビングに戻り、生気の抜けた顔で子どもに離乳食を与えていると、そんな私を見て夫はまた「無理しなくていいよ」と言ったのです。
聞いた瞬間、「無理しなくていいよ、じゃねーよ!だったらおまえがやれよ!」とブチ切れそうになり、夫の「無理しなくていいよ」が完全に我慢できなくなりました。
夫を変えたきっかけ

時が経ち、夜泣きと離乳食で私を困らせた子どもが小学生になったころのことです。その日も私は仕事に子どもの世話に家事にとフル稼働していて、すっかり夕食の準備が遅くなったところに夫が帰宅。
「あれ?夕食まだ?」
何の料理も載っていない食卓テーブルを見て夫が言いましたが、疲れ切った状態で冷蔵庫を漁っている私に気づくと、慌てたように「無理しなくていいよ」と言います。
夫を無視して料理にとりかかろうとすると、子どもが近づいてきて、こう言いました。
「ママ、無理しなくていいよ」
まさかの夫と同じセリフ…。戸惑っていたら
「夜ご飯はこれにしよう」とカップラーメンを持って来たのです。上辺だけの優しさで終わらずに、きちんと「どうしたら私が無理しなくて済むか」を考えてくれたことに、思わずあふれた涙。
子どもの提案通り、夜ご飯はカップラーメンを食べ、後片付けに追われることなく寝るまでのんびりと過ごすことができた私は、何度も子どもに「ありがとう」を伝えました。一連の様子を終始無言で見ていた夫でしたが、それからは「無理しなくていいよ」の後に必ず「自分がやっておくから」と言うようになりました。
当時は夫ばかりが悪いと思っていましたが、私も私で「その無理しなくていいって何?私が無理しなかったら誰がしてくれるの?」と、自分の気持ちをちゃんと言えばよかったんですよね。でも、当時は「察してほしい」「気づいてほしい」と思うだけでした。
「無理しなくていいよ」と言われるたびにモヤモヤしていたのは、夫だけではなく私にも反省点があったことをわが子が教えてくれました。
(ファンファン福岡公式ライター/tsukimi)





