独身時代、友人との気ままなふたり旅に出かけました。乗った飛行機内で、幼児連れのお母さんに謝られた瞬間、内心「ちょっとな…」と思いました。でも友人は間髪入れず温かい言葉をかけ、着陸後にはさりげない行動まで…。自分が親になった今も、あの日の友人の思いやりが忘れられません。
テンション上がる久しぶりのふたり旅

子持ちの友人とふたりで、飛行機旅行に出かけた日のことです。
友人は小学生と幼稚園児の2人の子どもを育てています。この旅行は友人にとっての貴重な一人時間。私もひさしぶりの女子旅で、搭乗前からふたりでテンションが上がっていました。
席についてみると、後ろの席は幼児連れの3人家族でした。夫婦と、3歳くらいの小さな男の子でした。
離陸前、そのお母さんが前の席の私たちに声をかけてきます。
「うるさくしてしまったらすみません」
内心、正直に言うと「仕方ないけど、ちょっとな…」と思いました。
子どもが嫌いなわけじゃない。でも「長いフライトで泣かれたら」と思って少し構えてしまいました。
間髪入れずに友人が一言

友人はすぐに振り返りました。
「大丈夫ですよ!私も子どもがいるのでわかります。気になさらないでくださいね」
自然に、柔らかく、迷いなく。
その瞬間、その言葉を聞いたお母さんの顔が、ふっとほぐれた気がします。さっきまでの緊張が抜けたような、ほっとした表情でした。
私は友人に聞きました。
「よく躊躇なく言えるね」
友人は笑いながら答えました。
「子連れの大変さは痛いほどわかるからさ。見かけたらなんか声をかけちゃうんだよね」
聞けば、電車やお店でも、小さな子を連れたお母さんを見かけると声をかけるのが、友人にとってはいつものことだそうです。モヤっていた自分との差が、なんとなく恥ずかしかったです。
フライト中、後ろの家族は拍子抜けするほど静かでした。子どもも機嫌よく過ごしていたようで、私は勝手に「よく頑張ったな」と感心していました。
親になった今、あの背中の意味がわかる

着陸して荷物を下ろしていると、友人がそのお母さんにもう一度声をかけていました。
「お子さん、静かに過ごせて偉かったですね!」「よかったら、これどうぞ」
東京駅で買ったお土産のクッキーを、さらっと手渡していました。
お母さんは「ありがとうございます」ともう一度ほっとした顔。
子どもは「ありがと!」とニコニコ。
友人は特に何でもないような顔で、そのまま飛行機の出口へ歩いていきました。
当時は純粋に、友人ってすごいなと思いました。自分が親になった今は、あの時のお母さんの気持ちが手に取るようにわかります。「すみません」と先に謝りながら乗り込む緊張感。ほっとした顔の奥に、どれだけの安堵があったか。
この出来事があってから、小さい子連れの家族を見かけたとき、自分もひと言かけられる人でいたいと思っています。あの日の友人みたいに、迷わずに。
(ファンファン福岡公式ライター/irone)





