小学生になると、親の知らないところで子ども同士の約束をしてくることが増えますよね。親が思わず耳を疑うようなやり取りをしてしまうことも。今回は、娘が同級生から「おさがり」をもらってきた出来事を振り返ります。
「これ、もらった!」娘が持ち帰ってきた高級ブランド品

娘が小学3年生の頃のことです。ある日、学校から帰ってきた娘が、ランドセルの中から何かを取り出していました。
「おかあさん、これね、友達のAちゃんからもらったの!」
そう言って机の上に置きました。
それは、誰もが知る有名子ども服ブランドのワンピースでした。目立った汚れや傷みもなく、まだ十分に着られる状態。驚いた私が
「これ、どうしたの? 」と尋ねると、娘は無邪気に答えました。
「Aちゃんが『もうこれ着ないから』『デザインに飽きちゃったから、あげる』ってくれたの。私に似合いそうだからって言ってくれたんだ」「クラスのみんなにも服とかかばんとかあげてたよ」
「同級生の間で、こんな高価なものを簡単にプレゼントするなんて…」
年の離れた親戚や近所のお姉さんから「おさがり」をもらうのなら分かります。しかし、相手は一緒に授業を受けている同級生です。しかも、もらったのは高価なブランド品。私は嬉しい気持ちよりも、戸惑いと、何とも言えないモヤモヤとした気持ちになりました。
「いらないから返さないで」頑なに受け取りを拒否するお友達

子どものすることですから、Aちゃん自身は「もう使わないから、友達にあげよう」という純粋で親切な気持ちだったのかもしれません。しかし、もらう側としては、はいそうですかと簡単にいただくわけにはいきません。
「気持ちはすごく嬉しいけれど、これはとっても高価なものだし、Aちゃんのパパやママが一生懸命働いて買ってくれたものなんだよ。お友達同士でこういうやり取りをするのは良くないから、明日学校で『ママにダメって言われちゃったから』って言って、ちゃんと返してきなさい」
私は娘に言い聞かせました。
娘も納得し、翌日、綺麗に袋に詰め直したブランド品を持って登校しました。これで解決と安心していたのですが、夕方帰宅した娘の手には、今朝持たせた袋が握られていたのです。
「どうしたの?返せなかった?」と聞くと、娘は困った顔をしていました。
「返すねって言ったんだけど、Aちゃんがどうしても受け取ってくれなくて。『私はもういらないから返さないで! 返すなら捨てちゃうよ?』って言われちゃって。クラスの他のみんなも、結局そのままもらってたよ」
「いらないから捨てる」とまで言われてしまうと、娘もそれ以上は強く突き返せなかったようです。
子ども同士の話し合いではこれ以上は無理と察した私は、Aちゃんの親御さんに確認することにしました。タイミングよく数日後に授業参観が予定されています。
親御さんのまさかの反応

「おさがり」は、Aちゃんが親に内緒で勝手に持ち出した可能性もあるため、トラブルを避けるためにも、私は丁寧に対応することを心がけました。Aちゃんのママを見つけ
「いつも娘が仲良くしてもらってありがとうございます。実は、先日Aちゃんから素敵なお洋服をいただいたのですが、あまりに立派なものなので恐縮してしまって…。お返しさせていただけますか?」
と、柔らかく切り出しました。
ところが、返ってきた親御さんの言葉は、私の予想を遥かに超えるものでした。
「ああ、あの服のことですか!全然気にしないで、そのまま使ってください。娘がもう飽きたって言っていたものですし、うちは本当に片付いて助かるくらいなんです。わざわざご確認いただいてすみません!」
お母さんの声にトゲは一切なく、むしろ本当に「返さなくていいのに」というスタンスでした。家庭に余裕があり、購入したブランド品を消耗品感覚で捉えているのか、あるいは単に「物への執着」がない家庭なのかもしれません。
結局、そのままいただく形になりましたが、胸の中のモヤモヤが消えることはありませんでした。「同級生からブランド品を気軽にもらう」という状況への違和感がぬぐえなかったからです。
家庭によって、さまざまな価値観や教育方針がある。今回の出来事で、自分の家庭の「当たり前」が、必ずしも他所の家庭の「当たり前」ではないと痛感することになりました。
(ファンファン福岡公式ライター/たまゆら)





