これは、私の友人が妊娠中に体験した話です。妊娠後期に入りお腹の大きさが目立ってきたある日、駅のホームで気分が悪くなってしまいました。そんな彼女に声をかけてくれた人がいたのです。それは意外な人物で…。
妊婦への風当たりは冷たい

友人は妊娠中も通勤ラッシュの中、片道1時間かけて出勤していました。
妊娠初期からマタニティマークを身につけてはいましたが、大勢の乗客にもみくちゃにされてしまい、結局、マークに気付かれることはなかったそうです。
「まだお腹も目立たないし仕方ない」
そう思い、なるべく人の少ない車両を選ぶことにしていました。
しかし、お腹が目立ち出した妊娠後期になると
「妊婦が通勤ラッシュ時の電車に乗るなんて…」といった白い目で見られることが多くなりました。
「好きでこの時間帯に乗っているわけじゃないのに…」
妊婦だとわかっていながら、席を譲ることもなく冷ややかな視線を送る周囲の対応に悲しい気持ちになったそうです。
気分が悪いまま朝の通勤ラッシュに
そんなある日、駅のホームで電車を待っている間に、突然気分が悪くなってしまいました。
しばらく休憩しても気分は優れず、会社へ連絡をしようとしたそのとき、ちょうど電車が到着。
そのまま通勤ラッシュの波に流されてしまい、電車に乗ってしまったのです。
思いがけず乗り込んだのは、学生で埋め尽くされた車両でした。車内は、女子高生が友達とはしゃぐ笑い声や男子高生のふざける声でとても騒がしい雰囲気。
席も全て学生が占拠していて、誰も妊婦である彼女に気付く様子はありませんでした。
「よりによって、学生ばかりの車両に乗っちゃうなんて…」
そう彼女は思ったそうです。
「大丈夫?」声をかけてくれたのは

席に座ることは諦め、車内の隅の方でひたすら気分の悪さに耐えることに。しかし、そのとき
「大丈夫ですか!?」
そう声をかけてくれたのは、さっきまで友達と騒いでいた男子高校生の1人でした。
驚いて顔を上げると、男子高生はギョッとした顔をして
「めっちゃ顔色悪いですよ!ここ、座ってください!」
そう言って、彼は座っていた友達に
「そこ、空けたって」と呼びかけて、席を譲ってくれました。
突然声をかけられ驚きながらも、今まで電車で席を譲ってもらったり声をかけられたことのなかった彼女は、その男子高生の優しさにとても心があたたかくなりました。
その後も彼らは、
「しんどくないですか?」
「どこで降りますか?」
など心配の声を掛けながら、体調を気遣ってくれたそうです。
もし電車で妊婦を見かけたら

彼女からその話を聞いたとき、私も妊娠中は学生の多い車両は避けていたことを思い出しました。
心のどこかで学生や男性は妊婦に親切じゃないだろう、と決めつけていたのです。
そして、改めて人に優しくする行為に年齢や性別は関係ないのだなと思い、偏見を持っていた自分を反省しました。
と同時に妊婦である友人の異変に気付いて、席をすぐに譲ってくれた高校生に感謝を伝えたい気持ちにもなりました。
席を譲る行為は、少し勇気がいることかもしれません。
でも、友人はその男子高生に声をかけてもらって、とても救われたと話していました。
もし、電車やバスで妊婦さんを見かけたときには「よかったら、座りますか?」
そう声をかけてあげたいと思いました。
(ファンファン福岡公式ライター / kinkuma@)





