子どもが中学校に通っていたころ。親の私は学校に“普通でいること”を求める見えない圧力を感じました。子どもが部活や友人関係に戸惑いながら、「目立たないように」と無理をしていた姿に胸が締めつけられました。親として感じた苦しさを振り返ります。
目立たないことが正解の空気

息子が中学校へ入学して最初に驚いたのは、小学校とはまるで違う教室の空気感でした。小学校では、明るく発言する子や元気な子が目立っていました。しかし、中学校では必要以上に前へ出ない子の方が自然になじんでいるように見えたのです。
授業参観でも、教室はとても静かでした。発表の場面でも積極的に手を挙げる生徒は少なく、周囲の様子を見ながら行動している印象を受けました。息子自身も、入学直後は楽しそうに学校の話をしていたのですが、少しずつ
「目立たない方がラク」と口にするようになっていきました。
そんな息子のことを、私は最初のうち「思春期だから仕方ないのかな」と軽く考えていました。
しかし、日に日に息子が周囲の視線を気にする様子を見せるようになって、中学校特有の“空気を読む文化”の強さを感じるようになったのです。
みんなに合わせることが増えていった息子

ある日、息子が気に入って買った文房具を、急に学校へ持って行かなくなりました。理由を聞くと、
「みんなシンプルなものしか使ってないから」と言うのです。
禁止されているわけではありません。ただ、周囲から浮きたくなかったのでしょう。
その後も、息子の口からは「みんなそうしてる」という言葉が増えていきました。
「LINEはすぐ返さない方がいい」「部活では前に出すぎない」「休み時間に一人でいると変に見られる」など
まるで見えないルールが存在しているようでした。
私は次第に胸が苦しくなりました。本当は好きなものがあっても、周囲に合わせて隠してしまう。そんな毎日を送っていたら、気づかないうちに心が疲れてしまうのではないかと思ったからです。
息子も以前より慎重になり、発言する前に相手の反応を気にする場面が増えていきました。
息子の口から洩れた本音

忘れられないのは、夕食中に息子がぽつりと漏らした言葉です。
「普通でいるのって、結構疲れる」
私は返す言葉が見つかりませんでした。まだ中学生なのに、“普通”でいるために気を張り続けていたのだと知ったからです。
息子は、目立たないように周囲へ合わせ、本音を飲み込みながら生活していたのでしょう。クラスで浮かないように、友人関係で失敗しないように、常に周囲を観察していたのだと思います。その姿は、私が想像していた以上に大人びて見えました。
さらに驚いたのは、保護者同士にも似た空気があったことです。小学校の頃のような気軽な会話は減り、「必要以上に踏み込まない」という距離感が暗黙のルールになっていました。部活動の連絡でも、発言しすぎると浮いてしまう気がして、私自身も空気を読んで目立たないようにしていたのです。
“普通”に悩む息子を見守る大切さ
中学校生活では、周囲に合わせる力も必要なのだと思います。ただ、その“普通”が苦しさにつながるなら、無理に合わせ続けなくてもいいのではないでしょうか。息子の言葉を聞いてから、私は「自分らしくいても大丈夫」と伝えるようになりました。
もちろん、すぐに悩みが消えるわけではありません。子どもの小さな変化に気づいてあげたい。自宅だけは本音を話せる場所でありたい。だから、子どもが素直に「疲れた」「しんどい」と言える環境があるだけでも、子どもの心は少し軽くなると信じています。
思春期は、周囲との違いに敏感になる時期です。だからこそ親だけは、”普通”であることを求めないようにしたいと思います。中学校で子どもが見えない圧力を感じたことは、親の私にとってもいろいろな考えさせられた出来事になりました。
(ファンファン福岡公式ライター/haru119)





