古典演目の継承や「風の谷のナウシカ」の歌舞伎化などに取り組んできた尾上菊之助さんが八代目尾上菊五郎を、その長男の尾上丑之助さんが六代目尾上菊之助を2025年5月に襲名しました。同月に東京・歌舞伎座から始まった襲名披露興行が、この6月の博多座(福岡市博多区)にやって来ます。大劇場での襲名披露興行のラストを飾る「六月博多座大歌舞伎」を前に菊五郎さんが福岡市で会見し、歌舞伎界の大名跡を継いだ思いや本公演の演目などについて話しました。
5月30日(土)は「船乗り込み」!
「六月博多座大歌舞伎」に出演する歌舞伎俳優がご当地到着を知らせる「船乗り込み」が5月30日(土)午後に開催されます。詳細は公式サイトで確認を。
「歌舞伎の魅力を伝え、歴代の菊五郎に認められる芸を」

人間国宝の七代目菊五郎さんと八代目菊五郎さん、2人の「菊五郎」が存在するのは歌舞伎界の長い歴史の中でも初めてのこと。その状況について八代目菊五郎さんは「最初は違和感を持たれる方も多かったと思います。でも最近は『八代目』と呼んでいただけるようになり、私も菊五郎の名前がなじんできたようです」と話します。
さらに、大名跡を継いだ心境を「歌舞伎の魅力をお客さまに伝えるのはもちろん、歴代の菊五郎に自分の芸を認めてもらえるのかという緊張感を持って舞台を勤めています」と続けます。

4都市(東京、大阪、名古屋、京都)での襲名披露興行を経て、博多座の舞台に共に立つ六代目菊之助さんはこの春、中学生に。
「菊之助という青年期の名前を11歳(小学6年)で襲名しました。大人でも骨が折れるような大役を勤め、この1年懸命に努力し、精神的にも肉体的にも成長しています。彼が大役に向き合う姿を、応援してくださればと思います」
菊五郎家に伝わる演目「茨木」と新作歌舞伎で初役に挑む

連獅子では親子の獅子で勇壮な毛振りをご覧に入れます」
菊五郎さんは本公演の「茨木(いばらき)」(昼の部)と「ぢいさんばあさん」(夜の部)で初役に挑みます。
渡辺源氏綱の羅生門での鬼退治伝説を題材にした「茨木」は、五代目菊五郎が制定した新古演劇十種の一つ。菊五郎さんは伯母真柴実は茨木童子(鬼神)を演じます。
「人間の欲や業の深さ、また鬼にされてしまった人間の悲しみなどの表現も新古演劇十種の作品の根底にあるテーマ。退治される側の思い、そして退治する人間の業を感じていただければ」

今回は菊之助と一緒に福岡のグルメも楽しみたい」
「ぢいさんばあさん」は森鴎外の短編小説が原作の新作歌舞伎。ある事件をきっかけに37年離れて暮らす旗本夫婦の愛を描く物語で、菊五郎さんが演じるのは旗本の美濃部伊織。
「以前、伊織の妻・るんを演じたときに心温まる素晴らしい話だと感じました。今回は伊織役で(中村)雀右衛門のお兄さんに、るんを演じていただく機会を得ました。互いに相手を思い続け、37年たって夫婦が再会する。人と人の思いが温かく流れる作品です」
親子共演の「連獅子」に注目!

さらに注目したいのは、菊五郎さんが狂言師右近後に親獅子の精、菊之助さんが狂言師左近後に仔獅子の精を演じる「連獅子(れんじし)」(夜の部)。親子共演は23年9月、25年6月に続いて3回目です。

「菊之助は最初に演じたときは体力的にも精神的にもギリギリでしたが、昨年はどうしたら作品に向き合えるのかを考えるようになっていました。今回はさらに成長と経験を重ねています。親子でどう演じるかも課題ですし、お客さまに連獅子の魅力をストレートにお伝えできるように稽古しています」

この他、昼の部は祝いの舞踊「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」、菊之助さんが梅王丸を勤める「菅原伝授手習鑑 車引(くるまびき)」、夜の部は市川團十郎さんが華やかな立ち回りで魅せる「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」、團十郎さんや坂東彌十郎さん、雀右衛門さんらも登場する襲名披露「口上」と多彩な演目がそろいます。

菊五郎さんから九州・福岡の皆さんへメッセージ。
「九州の皆さま、3年ぶりに八代目菊五郎となって帰ってまいります。大好きな博多座で、せがれと共に襲名披露興行の節目を迎えられることをうれしく思います。ぜひ6月の博多座にお越しください」
尾上菊之助改め 八代目尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目尾上菊之助襲名披露
「六月博多座大歌舞伎」
日時:6月2日(火)~22日(月) 昼の部11:00、夜の部15:45
※8日(月)、16日(火)は休演日。貸し切り公演あり
場所:博多座(福岡市博多区下川端町2-1)
料金:A席21,000円、B席13,000円、C席6,000円 ※税込み
問い合わせ:博多座電話予約センター
電話:092-263-5555
公式サイト https://www.hakataza.co.jp/lineup/132





