Re:祖母が語った不思議な話・その参拾玖(39)「かえる」

私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

イラスト:チョコ太郎(協力:猫チョコ製作所)

小学校に入った春、庭の隅に一尺四方(約33cm)の石の蛙がある事に気がついた。

「おばあちゃん、大きなかえるがいるよ」
「石の蛙だね。おじいちゃんが若い頃に彫ったものだよ」
「おじいちゃんが?」
「雨が長く降らない年に、いくつも彫ったそうだよ。今はこれしか残っていないね」
「ふーん。雨はふったの?」
「私が聞いた話だと…」

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【祖母の話】

干ばつの夏、雨乞いの祈りを込めて祖父は十数匹の石の蛙を彫り、村の人々の家に据えて回った。
毎日、水をかけて蛙に雨を願ったが一向に降らない。

「あんまりご利益がないねぇ…」
皆がそう思い二週間くらいして、やっと雨が降った。
時間が経ちすぎていたので蛙のおかげとは誰も思わなかった。

それから十五年…戦争が終わった秋。

「お久しぶり!今日はお礼に来たよ」
石の蛙を据えたうちの一軒、西田さんの奥さんが山ほど食べ物を抱えてやって来た。
あっけにとられる祖父母に西田さんは語り始めた。

「ある晩、南方に出征している息子が夢に出て、『母さん、水を頼む!』って言うから飛び起きたんだけど、どうしようもないだろ。藁にもすがる思いで庭の石蛙に一生懸命水をかけたんだよ。戦争が終わって帰って来た息子にその話をすると、ちょうどそのころ大勢の敵兵に囲まれてもう駄目だと思っていたら天の底が抜けたような大雨が降って脱出できたって言うじゃないか。まったくあの蛙のおかげだよ。本当にありがとうね!」
西田さんは深々と頭を下げると帰って行った。

これが現物の石蛙です

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「じいちゃんのかえるすごいね!」
「食べ物の無いときだったからありがたかったね。無事かえる…時々水をかけておやり」

チョコ太郎より

初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。

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