私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

祖母が十一の秋、ひどい吹き降りが何日も続いた。
ふだん見慣れた川も表情を変え、溢れんばかりの濁流と化した。

ある日、父親と二人用事を済ませた帰り道、川に差し掛かると顔見知りの山本さんが立っている。
「山さん山さん、川はこんなんなっとるから危ないよ」と思わず口に出た。
山本さんはそれにうんうんと頷き、ニコニコしながら川を見ている。
父親も二三言葉をかけると山本さんはぼそぼそと何かを答えた。
それを聞いた父親は驚愕の表情になり、山本さんの腕を強く引いた。
山本さんは「そんなら帰ろう」と素直に従った。
村の入口まで来て山本さんと別れた。
祖母は山本さんが父に何を話したのか気になったが、尋ねてはいけないような気がして黙って歩いた。

翌日、山本さんがいなくなったと大騒ぎになった。
総出で探したが見つからなかった。
その夜、父親が隣の部屋で「『…が来る…で待っとる』って言うてたもんな」と話すのが聞こえた。
山本さんは今も見つかっていない。

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初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。
