「実家の近くに住むよね?」家探しを始めたばかりの頃、夫が当たり前のように放った一言で言い争いになりました。その後も話し合いは毎回険悪ムードに。 マイホーム計画がこんなにも難航するとは思っていなかったけれど、立地や間取り以上に「大切なこと」に気づきました。
マイホームの話し合いが迷走

マイホーム購入を考え始めたとき、私はてっきり「どんな家に住みたいか」を話し合うものだと思っていました。ところが、夫は最初から違いました。
「実家の近くで探そう」
夫の実家の近くに住むことが決定事項であるかのように言ったのです。
義実家との関係は悪くありません。むしろ、いわゆる”嫁姑関係”はさほどなく、私は気を遣ってばかりですが、義母からは比較的よくしてもらっている方だと思っていました。
でも、「義実家の近くに住む」となると話は別。私は自分の実家から離れた場所で暮らすことになりますし、これから何十年も続く生活を”義実家ありき”で考えるのは嫌でした。それなのに夫は
「親も喜ぶし」「子どもの面倒も見てもらえるし」「近い方が絶対便利じゃん」
と当然のように話を進めていきます。
気づけば、夫が不動産サイトで見る物件も義実家周辺ばかり。私の希望と関係なく住むエリアが決まっていることに違和感が募りました。
家族会議のたびに険悪な空気に

それからというもの、家探しの話題になるたびに言い争いが増えました。
私は、義実家と適度な距離感を保ちたい。夫はできるだけ実家の近くがいい。
話し合いをしようとするたびに「そんなにうちの親が嫌なの?」「親の好き嫌いとか、そういう話じゃなくて」の繰り返しです。
ある日の家族会議では、お互い感情的になってしまい、怒鳴り合いにまで発展。子どもが気まずそうに私たちを見ている姿を見て、「これはまずいな」と思いました。
みんなで仲良く暮らすために家を建てたいのに、家族の雰囲気が悪くなっている。本末転倒でした。
不動産会社の担当者に言われた一言がヒントに
このままではいつまで経っても意見が一致しないので、不動産会社に相談に行くことにしました。これまでの経緯も含めて不動産会社の担当者に相談。すると意外なことを言われたのです。
「近いか遠いかよりも、どんな距離感で付き合いたいかを先に決めた方がいいですよ」
最初は意味がよくわかりませんでした。でも話を聞いているうちに、ヒントを見つけたような気分になったのです。
徒歩5分でも干渉が少ない家庭もある。逆に車で1時間離れていても毎週行き来する家庭もある。
問題は距離そのものではなく、家族それぞれが望む関係性だったのです。
私たちは改めて「どのくらいの頻度で会いたいか」「子育てをどこまで頼りたいか」「急な訪問はどう考えるか」を一つずつ話し合うことにします。それでようやく、“住む場所”ではなく、“暮らし方”の話ができるようになった気がしました。
迷った末にたどり着いた納得できる選択

最終的に私たちが選んだのは、義実家から車で20〜30分ほどのエリア。夫が望んだ「何かあればすぐ行ける距離」と、私が望んだ「適度な距離感」のちょうど中間くらいです。
実際に住み始めてみると、子どもの体調不良で助けてもらうこともありますし、行事のときには気軽に来てもらえます。一方で、突然訪問されることはほとんどありません。
もしあのとき勢いだけで決めていたら、どちらかが不満を抱えたまま暮らしていたかもしれません。家探しは、間取りや内装のデザインを決めるものだと思っていました。でも実際は、家族との距離感や価値観まで見つめ直す機会だったのだと思います。
今振り返ると、あの修羅場のような家族会議が、私たち夫婦にとっては必要な時間だったのかもしれません。
(ファンファン福岡公式ライター/わたなべ)





