私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

「夢見が悪かったから海には行かない」
小学2年生の7月、家族で海水浴に行くはずの朝に母がそう言い出した。
楽しみにしていたので繰り返し説得したが、がんとして譲らない。
困ってしまって祖母に相談した。

「どんな夢を見たと言ってた?」
「それが変なんだよ。貝掘りしていたらすごくいっぱい獲れた夢なんだって」
それを聞いた祖母は何かを思い出したような顔になり、台所へ行った。
そこで母とひと言ふた言話したのちに麦茶を持って戻り、そしてこう言った。
「今日は行かない方がいいね」
何が何やら分からずポカンとしていると祖母が話しはじめた。

「戦争が終わって数年してここに越して来たのは知ってるね。本当はもう少し後に引っ越すはずだったんだけど、私が家族や親戚を説得して早めたんだよ」
「どうして早めたの?」
…変な夢を繰り返し見たんだよ」
「どんな夢?」
「近所に大きな川ができていて、ものすごい数の魚が群れているという夢。それも繰り返し繰り返し見てね、厭な気持ちがどんどん大きくなっていったの」
「それでどうなったの?」
祖母は麦茶をひとくち飲むと話を続けた。

「それから半年後に歴史に残るくらいの大水が出て、住んでたあたりはほぼ全滅だったよ。夢見が良い…夢見が悪い…眠って意識の壁が無くなるといろいろなものを感じるのかもしれないね」
そう言いながら祖母は新聞の切り抜きを見せてくれた。
大災害の記事には越す前に住んでいた地域の無惨な写真が載っていた。
夏真っ盛りなのに身体が冷たくなった。





チョコ太郎より
初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。また、「新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」「こんな話を知っている」といった声をぜひお聞かせください。一言でも大丈夫です!下記のフォームからどうぞ。
