「年配の人に好かれやすいんだよね」と話していた夫。その言葉どおり、夫は仕事関係の年配者から、季節ごとに家庭菜園の野菜を大量にもらってきます。新鮮な野菜は家計の助けにもなり、ありがたい存在でした。一方で、私が気になっていたのは、おすそ分けに対するお礼の有無でした。そんなある日、スーパーで偶然出会った“いつも野菜をくれる本人”との会話の中で、これまで知らなかった事実を知ることになります。
旬の野菜がタダでもらえるのは嬉しいけれど…

夫は仕事の関係先から野菜をもらってきます。それも一度ではなく、春はアスパラ、夏はトマトにとうもろこし、秋はじゃがいもと、旬の野菜を大量に。
夫曰く、自宅で家庭菜園をしている人が、「余っているから」と毎回おすそ分けしてくれるのだそう。おすそ分けの野菜はどれも新鮮でおいしく、野菜をいただくこと自体に私は困っていません。でも、気になるのがお礼です。
夫に「お礼をしたほうがいいのでは?」と尋ねても、「お礼は必要ない。お礼をしたほうがかえって相手に気を遣わせてしまう」というのです。常日頃から自身の人懐っこい性格はとりわけ年配者からの受けがよく、「付き合い方は熟知している」とも言っていました。
おすそ分けのお礼は、お礼をされると渡しにくくなるという人もいるので、本当にケースバイケースですよね。私はそれ以上、夫に「お礼をすべき」と詰め寄ることもできずに時間が過ぎていました。
野菜の主Dさんと遭遇!
ある日、夫とスーパーへ行くと、いつも野菜をくれるDさんと偶然会いました。私はもちろん初対面ですが、夫との会話から察しました。
Dさんは夫よりも20歳近く年齢が上と思われる方で、見るからに温厚そう。私の存在に気づくと、「どうもどうも」と笑顔を返してくれる人柄に、最初は本当に余っている野菜をもらってくれるだけでありがたいと思っているのかも、と思いました。
ところが、私が「いつも野菜ありがとうございます。おいしくいただいています」と伝えると、Dさんは「それはよかった」と笑った後、「お宅の旦那は野菜あげてもお礼のひとつもないから~」と言ってきたのです。
…え?
一瞬、何をいわれたのかわからず戸惑う私に、Dさんはさらに続けます。「お礼もないのに、これもらってもいい?あれもちょうだいって言うから~」
隣の夫が「そのほうが助かるんでしょ」と言うと、Dさんは「そうは言ってもタダじゃないんだぞ!」と夫の肩を叩き、笑い合っています。
2人の間に険悪な雰囲気はなく、長い付き合いの夫とDさんが親しい間柄というのは間違いなさそうでした。でも、真実を知った私はただただ申し訳なかったです。
相手の言葉を鵜呑みにする夫に喝!

Dさんが去った後、「最初は本当に余っていたり、気持ちだからといって渡してくれても、自分から催促するなんて論外!」と怒りました。
「あれはDさんの冗談だって」という夫に折れず、出張先からお土産を買ってきたタイミングで、Dさん宅に向かわせました。お礼を頑なに断ると思っていたDさんが「おいしそうだな」と喜ぶ様子を見て、夫もやっと反省したようです。
野菜を作るにはお金も労力もかかるのだから、お礼をして当然だと私は思います。今ではDさんが直接わが家に野菜を持って来てくれることもあり、私がDさんと話しをする機会も増えました。
これからも気持ちよく「よかったら食べて」と言ってもらいたいので、夫婦で話し合って定期的にお礼をすることにしました。来年は夫と2人でDさんの畑のお手伝いをする予定です。
(ファンファン福岡公式ライター/tsukimi)





