何度教えてもメモを取らないに年上新人にイラっ!問い詰めて分かった意外な理由とは?

新人社員と聞くと、ノートを片手に一生懸命メモを取る姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ところが、私の職場にやってきた年上の男性社員Gさんは、少し違っていました。異業種からの転職なのに、どんな説明をしても、ノートもペンも出てこないのです。最初は気のせいかと思っていましたが、その違和感は、少しずつ私の中で大きくなっていきました。

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落ち着いた年上の社員の印象は

写真AC

年度初め、私の部署に中途採用で一人の男性社員が配属されてきました。年齢は50代前半で私より一回りも年上のGさん。調理場スタッフからの転職で、私の会社の業務は初めての「新人」にあたります。「一日でも早く戦力になりたいです」と落ち着いた口調で挨拶をしていました。

Gさんの物腰は柔らかく、受け答えも丁寧。第一印象は悪くありませんでした。ただ、業務を教え始めてすぐに、私はある違和感を感じました。それは、どれだけ説明しても、メモを一切取らないことでした。

説明しても、メモ帳が出てこない

写真AC

「この作業は、まずここを確認してください」
「次に、この順番で進めます」
「ここはミスが出やすいので、必ずダブルチェックをお願いします」

一通り説明しながら、私は何度もGさんの手元に目を向けました。しかし、机の上にはノートもペンもありません。パソコン画面を見つめ、うなずきながら話を聞いているだけです。

「…メモ、取らなくて大丈夫ですか?」そう声をかけると、Gさんは少し笑って答えました。
「話を聞けばある程度覚えられるので大丈夫です」その言葉に、私は小さくうなずきながらも、本当に大丈夫なのだろうかと不安になりました。

同じ質問が繰り返され、限界が近づいた

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午後になり、Gさんが私の席にやってきました。
「すみません、さっきの件なんですが……最初に確認するのはどこでしたっけ?」一瞬、頭が真っ白になりました。ほんの数時間前に、丁寧に説明した内容です。

「最初は、ここを確認して、次にこの作業です」そう答えると、「ああ、そうでしたね」と少し気まずそうに、席に戻っていきました。しかし、それで終わりではありませんでした。翌日も、同じような場面が続きます。

「この作業、どこまでやればいいんでしたっけ?」
「ここって、前回どう処理しました?」

どれも、すでに何度も説明している内容。そのたびに私は笑顔を作りながら説明し直しましたが、内心では焦りと苛立ちが積み重なっていきました。

(なんで、メモを取らないんだろう)
(覚えられるんじゃなかったのか……)

説明する側としての責任もあります。年上の新人社員に強く言いにくい空気もあります。それでも、同じ質問を繰り返されるたび、じわじわとやるせなさや疲れを感じていました。

ある日の夕方。また同じ質問をされた瞬間、私は一度深く息を吸い、意を決して口を開きました。
「失礼ですが、どうしてメモを取らないんですか?」Gさんは少し驚いたように目を見開き、しばらく黙り込みました。そして、視線を落としながら、ぽつりと話し始めます。

「前の職場では…メモを取ると、“理解していない証拠”だと言われていたんです」
「だから、できるだけ頭で覚えるようにしてきました」

そうか、ただの怠慢ではなかったのかと、Gさんを疑ったことに少しドキっとしたと同時に、こうも思いました。“ここは前の職場ではない“と。しかも、以前こちら側から「メモを取らなくて大丈夫か?」と尋ねています。

私は言葉を選びながら、静かに伝えました。
「この職場では、メモを取ることは悪いことではありません」「むしろ、覚えようとしている姿勢だと受け取っています」Gさんは、少し困ったように笑い、小さくうなずきました。表情には、安心と戸惑いが混ざっているように見えました。

その日から、年上新入社員は…

翌朝、出社してその人の席を見ると、机の上に小さなメモ帳とペンが置かれていました。
確かに昨日までとは違う光景でした。完璧ではありませんが、質問の回数は明らかに減りました。「ここ、確認してもいいですか?」そう前置きして話しかけてくる声にも、以前より遠慮がなくなったように感じます。

最初は、メモも取らない新人社員を理解できず、正直イライラすることもありました。しかし背景を知ってみると、人はそれぞれ違う価値観の中で働いてきたのだと、改めて気づかされました。

世代や経験が違えば、当たり前も違う。だからこそ、すれ違いは起こるものです。あの日、勇気を出して聞いてよかったと、そう思える出来事でした。

(ファンファン福岡公式ライター/赤べこ太郎)

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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