Re:祖母が語った不思議な話・その肆拾肆(44)「忌絵(いみえ)」

私が小さい頃、明治生まれの祖母はちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。祖母の思い出とともに少しずつアップしていきます。
※「祖母が語った不思議な話」シリーズは現在も連載中ですが、サーバー変更にともない初期の話が消えてしまったので、再アップしていきます。

イラスト:チョコ太郎(協力:猫チョコ製作所)

祖母が十一歳の春、叔母が訪ねて来た。
家で火事があり、蔵が全焼したとのことだった。

「全部焼けて本当に良かった」
叔母がそう話すのを聞いて、さぞ落ち込んでいるだろうと思った祖母は大変驚いた。
そのわけを尋ねると叔母は次のように語り始めた。

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【祖母の叔母の話】

ある日、叔父が大きな包みを持って帰って来た。

「これは掘出物だぞ!」

得意そうに包みをほどくと一枚の日本画が現れた。
美しい女性の立ち姿が描かれていたが、見た瞬間に叔母は何故か厭なものを感じた。

案の定、叔父がその絵を床の間に飾ってすぐに変なことが起こり始めた。
まず、いつもそこで眠っていた猫が一切立ち入らなくなった。
毎年軒先に巣を作る燕も姿を見せなかった。
夜中にげらげら笑い声がし、それを聞いた者は怪我をしたり具合が悪くなる。

あの絵に何かあるに違いないと考えた叔母は、外すよう強く迫った。
叔父がしぶしぶ外した絵をあらためて見ると、女の背景に目のようなものがいくつうっすらと浮かんでいる。
みるみる青い顔になった叔父は絵を持ってどこかへ出かけた。

数日後、画商があの絵を持って訪ねて来た。
叔父としばらく話をしたのち、絵を置いて帰って行った。
「実はあの目を画家に塗りつぶしてもらうよう画商に頼んだんだ」
「それで、消えたの?」
「ひと目見るなり、どの画家も断ったそうだ。画商も気味が悪くなって持って来たんだ。えらいものをつかんでしまったな…」

捨てるともっと悪いことが起きるような気がした二人はお寺さんに持って行くことに決めたが、間の悪いことに住職は遠方に出かけしばらく戻らないということだった。
仕方が無いので目につかない蔵に入れた数日後、火の気が無いはずの蔵から火が出てあっと言う間に焼け落ちた。

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「蔵は燃えたけど、あの絵が消えてくれた方が私にとってはありがたいよ」
叔母はそう言うとホッとしたように笑顔を見せた。

チョコ太郎より

サーバーの変更で初期話が消えてしまったので、あらためて読めるようにアップしていきます。
また、「続、新・祖母が語った不思議な話」も連載中ですので、ご希望や感想、「こんな話が読みたい」「こんな妖怪の話が聞きたい」といった声をぜひお聞かせください。
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