子どもを連れて行く児童館は、親にとっても子どもにとっても、安心して過ごせる場所のはず。でも、子ども同士のちょっとした衝突やトラブルは、どれだけ気をつけていても避けられないものです。そんなとき、どう対応すればいいのか。謝る?見守る?介入する?一瞬の判断に戸惑うことも少なくありません。今回の出来事は、まさにそんな場面で起きました。

その日は、いつものように子どもと児童館へ行っていました。平日の午後ということもあり、館内はほどよい混み具合。子どもはお気に入りのおもちゃで遊び、私は少し離れたところから見守っていました。
最初は、何の問題もありませんでした。笑い声があちこちから聞こえてきて、穏やかな時間が流れていたのです。
その空気が変わったのは、ほんの一瞬の出来事からでした。近くで遊んでいた子と、うちの子のおもちゃがぶつかり、取り合いのような形になってしまったのです。
「それ、ぼくの!」
「ちがう、さっきから使ってた!」
声が大きくなり、次の瞬間どちらかが押してしまい、相手の子がバランスを崩してしまいました。
どうすればいいのか分からない、あの一瞬
その場の空気が一気に張り詰めました。相手の子はびっくりして泣きそうな顔。周囲の大人たちも、ちらりとこちらを見ています。
少し離れた場所には、おそらく相手の子のママらしき人の姿も見えました。私は慌てて駆け寄りましたが、どう対応すればいいのか、一瞬で頭が真っ白に。
先にこちらから謝るべき?状況を説明する?それとも、相手の親の言葉を待つべき?いろんな考えが一気に浮かんでは消えていきます。
「すみません…!」と口には出したものの、声が少し上ずっているのが自分でも分かりました。「相手の親が来る前に、ちゃんと対応しなきゃ」そんな焦りがさらに自分を追い込んでいきました。
そんなときでした。
見た目とのギャップに驚いた、“神対応”

少し離れた場所にいた、一人のパパが近づいてきました。背が高く、がっしりとした体格。黒い服に、少し鋭い目つき。正直に言えば、最初に見たとき「ちょっと怖そうだな」と感じてしまっていた人でした。
そのパパはうちの子でも、相手の子でもない、少し離れた場所で自分の子どもを見守っていた方でした。おそらく、さっきのやり取りを一部始終見ていたのでしょう。子ども同士の空気や、私の慌てた様子を見て、そっと近づいてきてくれたのだと思います。
そのパパが落ち着いた声で、こう言いました。
「大丈夫だよ。子ども同士なら、よくあることだから」
その一言で、張り詰めていた空気がふっと緩みました。続けて、その子に優しく声をかけながら、「びっくりしたね。でも大丈夫だよ」と寄り添う姿。決して大げさではなく、でも確実にその場を落ち着かせる言葉と態度。子どもとの距離の取り方も自然で、「子育て慣れているんだな」とすぐに分かりました。
私はただ、「ありがとうございます、ありがとうございます。」と繰り返すことしかできませんでした。
見た目で判断していた自分への気づき
その後、子どもたちは少し気まずそうにしながらも、また別のおもちゃで遊び始めました。私は少し離れた場所で、さっきの出来事を思い返していました。
怖そう、と思っていたのは、完全に私の先入観でした。実際には、一番落ち着いて場を収めてくれたのは、そのパパだったのです。
子どもを守ろうとするあまり、私は無意識に見た目で人を判断していたのかもしれません。そのことに気づいたとき、少しだけ恥ずかしさを感じると同時に、心の中で深く反省しました。
人柄は見た目では分からない

児童館での出来事は、ほんの数分のことでした。でも、あのときの一言と空気の変化は、今でもはっきりと記憶に残っています。子ども同士のトラブルは避けられない。だからこそ、周りの大人の関わり方が、とても大切になります。そしてもう一つ、強く感じたことがあります。
人柄は見た目では分からないということ。
あの日、あのパパがいてくれたことで、私はただ救われただけでなく、自分の見方を見直すきっかけももらいました。これからは、先入観だけで人を見るのではなく、その人の行動や言葉に目を向けていきたい。そしてもし同じような場面に出会ったときは、今度は自分が、あのときのように誰かを安心させられる存在でいられたらと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/Happymam)





