
子どもが窓ガラスをバンバンたたいたり、お友達をたたいたりする場面を目にすると、びっくりしてしまいますよね。ただ、大人だって何かをバンバンたたきたくなることもあるしね…。そんな子どもたちや大人にぴったりのおもちゃとボードゲームがありますよ!第2回のテーマは「たたく」です。
「うちの子、乱暴なんです」1歳男の子ママのため息

さて、今日のお客様は1歳過ぎの男の子とママさんです。
よちよちと歩きながら、店内のおもちゃをあれこれ触って楽しむ男の子。ママは目が離せないようです。
木琴のバチを持って勢いよく振り下ろし、音が鳴ると、嬉々として(激しく)たたき続ける男の子。
まだバチの長さと自分の頭の距離のバランスがよくわからない様子で、ときどきコツコツと自分の頭もたたいてしまいます。
すると、ママが「危ないよ。もうこれやめて」とバチを取り上げようとします。
男の子は楽しいことを続けたくて「ヤ!」とママの手を振り払って抵抗しています。
こんなとき、私は事務仕事をしながら親子の様子を見守ります。
「ほらほら危ないよ~」などとママに代わってバチを取り上げるような“おせっかい”は決してしません。
おひさまやでは「お店の人に怒られる」なんてことは決してないのです。狭い店内を走り回る子には注意しますけどね。
近くにある他のおもちゃに興味が移ったようで、男の子はバチをポイと投げ出しました。
「もう!投げないでよ」と、ママはバチを拾いながら「はぁーっ…」と、ため息。
私が「楽しそうにたたいてましたね」とママさんに声をかけると、うんざりした様子で「うちの子、乱暴なんです。性格が悪いんじゃないかと心配で…」とおっしゃいました。
詳しく話を伺ってみると「離乳食の食器をスプーンでずっとたたいて全然食べようとしないし、子育て支援センターでも、おもちゃを投げたりお友達をたたいたり、とにかく乱暴で。将来が心配なんです」とのこと。
食器をたたくのも、物を落とすのも…子どもはからだの使いかたを練習中
確かに、公共の場で子どもがおもちゃでカンカン物をたたいて音を立てたり、物を放り投げたりすると、冷たい視線が親に飛んでくることも。すごく焦りますよね。
でも、1歳頃の子どもは、大人を困らせようとしているわけではありません。「たたくという動作」そのものに興味があったり面白かったりして、何度もしているだけなんです。

0歳のときの手は「握る」が中心の動きになります。そこから、手のひらが開いて「離す」ができるようになり、ポイとおもちゃを落とすことを楽しみます。
1歳頃になると、指も動いて「つまむ」ができるようになり、腕が発達してくると「たたく」もできるようになります。いろんな動きを練習して、できるようになりたい時期なんです。
この話をママさんにすると、困り顔で「じゃあ、どんなふうに子どもの育ちに寄り添えばいいのか…好きなようにやらせて、ほっとけばいいですか?」。
いえいえ、「たたきたいなら自由に」と勝手にやらせ放題にしておくと、子どもは家の中やお友達をたたきまくるし、それを放置したら恐ろしい結末になります!
やめさせるのではなく、たたくことを遊びに変えよう
子どもが、ごはんの時に食器をバンバンたたき始めたら「食器はたたくものじゃないよ」と端的な言葉で伝えて食器を下げましょう。
そして代わりに「たたくなら、これだよ」とたたくことで楽しめるおもちゃを差し出してあげてください。
木製の太鼓、木琴、ハンマートイなど、たたくと良い音がするおもちゃ達です。
間違っても「これならたたいてもいいよ」とプラスチックの食器に差し替えることのないように…。
大事なのは「割れる陶器か、割れにくいプラスチックか」ではありません。「食べるための食器か、遊んでいいおもちゃか」その違いを伝えることが大切なのです。
おすすめしたいおもちゃは、ハンマートイ。1歳のお誕生日プレゼントとしても人気です。
1歳は「玉タイプ」、2歳からは「ペグタイプ」 年齢に合ったハンマートイ

左「ハンマートイ」(ドイツ・エバート社)、右「ノックアウトボール」(スウエーデン・ミッキイ社)。
ハンマーを使って玉を狙い撃ちして穴に落とすには、手首や腕の動きをコントロールする必要があります。
1歳前後ではまだ「狙って打つ」ことはかなり難しいのです。
まずは、木玉を手で押し込んで穴に落とす「玉タイプ」のハンマートイがおすすめです。
1歳半ぐらいになったら、ハンマーを渡してもよいでしょう。自分の頭をコツンとしなければ大丈夫。

娘はハンマーの持ち手を穴に刺して押し込み、ペグを全部抜いて遊んでいました。
2歳頃になり、もっと力が強くなってきたら「ペグタイプ」のハンマートイがおすすめです。
写真のユシラ社のハンマートイは、穴にペグがきつく入っていて、指で押してもペグは動きません。
ハンマーで何回か叩くと、少しずつペグが沈んでいきます。ペグを狙ってハンマーを何度も振り下ろすとき、子どもたちはすごく集中しています。
6つのペグをたたき終えたら、ひっくり返すとまた6本のペグが現れますので、狙ってたたいて、ひっくり返して…。
このおもちゃは、かなりしっかりたたく必要があるので、結構なストレス発散になります。イライラすることがあったら大人も思い切りたたいてみて!(私も子育て中、何度もたたいてきましたよ)。
4歳からは、たたくときの「力加減」を経験しましょう

4歳ぐらいになると、力をコントロールすることも覚えていきたいですね。
ハンマーを使うボードゲーム「宝石ゴンゴン」が、ぴったりです。
配られたカードと同じ色の宝石を、ハンマーで箱をたたいて落として手に入れます。
でも強くたたきすぎて大量に宝石が落ちると、ドラゴンが目を覚ましてしまいます!
落とした宝石はもらえず、全部箱に戻さないといけなくなるので、ほどよい力加減で、欲しい色の宝石が落ちてきそうな場所をトントン、とたたきます。
わが家では子どもたちが大学生になった今でも、家族で遊んでいる楽しいゲームです。年齢幅広く楽しめますよ。
「たたくのはなぜか?」子どもの気持ちにも寄り添って
一方で、お友達やママ、パパをたたくことは、他人に危害を加えるよくない行為です。
子どもが人をたたいたら「しないよ」ときっぱり伝えます。
くどくど言わず、端的に。おどけず、まじめに伝えます。
それでもやめないと親もイライラしてきて「なんでそんなことすると?!」と子どもを問い詰めたくなりますよね。でも、言葉で上手にたたいた理由を説明できる幼児は、ほぼいません。
まず「人をたたくことはいけないことだ」と伝えること。
そのうえで、誰かをたたいたその手をとって、または抱っこして「何がいやだったの?」と優しく聞いてみてください。子どもがうまく説明できなくても、「こうなの?こうなの?」と問い詰めないこと。
こういったやりとりを繰り返すことで、叩いたり投げたりするのではなく、言葉で伝えることが大事なのだと、少しずつ伝わっていくと思います。
「お子さんは決して乱暴者なんかじゃなく、今まさに成長中。お子さん自身も、もどかしいのかもしれませんね」とお伝えしました。
するとママさんは「うん、なんだか安心しました。子どもが上手に話せるようになるまで、ハンマートイを叩かせてみます」と笑顔に。お子さんへの“乱暴者認定”も解除されて、私もほっとしました!


木のおもちゃ・おひさまや
住所:福岡県糟屋郡新宮町三代西1-9-10
電話:092-985-0540
営業:11:00〜16:00(定休日:月・火・水曜)




