前回は「ウェルネス」「サステナブル」をキーワードにしたイベントの様子を紹介しましたが、旅で訪れたタイ南部クラビにある寺院「ワット・タムスア」には1237段の石段があり、持続可能性を考えさせられる場所でした。宿泊先の「ヴァラナ・クラビ・ホテル」も同じように環境との共生に力を入れていました。やはり、観光のテーマになっているようです。

クラビで最も大きい寺院「ワット・タムスア」は1970年代まで野生のトラが目撃されていたことから、〝タイガーケーブ〟とも呼ばれているそうです。実際に、入り口付近ではいかにも凶暴そうな2頭のトラの像が出迎えてくれます。この裏には標高約600メートルの切り立った山があり、ガイドブックには「体力に自信があり、時間に余裕があれば登頂に挑戦してみて」とあります。
富士山登頂の経験があり、屋久島では縄文杉まで登ったことがあります。いざ頂上へ!しかしこれはきつい…。石段の1段が通常の階段の2~3段分ある険しさ。目前には壁のようにそびえる階段が延々と続きます。30度を超える気温。日差しも強くなってきました。ややジメジメした空気が体にまとわりつきます。一歩一歩、足を上げるのもやっとで、気がつくと「863段目」の踊り場でフラフラになり、動けなくなってしまいました。

そんな時、「何とか頂上にたどり着きました!」。同行した仲間たちからスマートフォンに連絡が入ります。情けないやら恥ずかしいやら。そんな心を隠しながら、私は1人で下山することに。それでも下りは下りで大変です。疲労がたまった足を踏み外せば危険。道中、救いだったのはかわいらしい野生のサルがいたこと。かなり人間に慣れていて、時には、持ち物を奪われることもあるそうで、注意が必要です。

ぷるぷると震える足を見やりながら「ロープウエーやケーブルカーがあればなぁ…」と何度思ったことでしょう。しかし、ここはサステナビリティ(持続可能性)を重視した地域。大がかりな開発や、エネルギーを使う乗り物を選ぶのではなく、エコな人力で山頂までたどり着くことに意義があるんだろうと思い直しました。
「ウェルネス」「サステナブル」といえば、宿泊先の「ヴァラナ・クラビ・ホテル」も同様でした。クラビ初のスポーツ&ウェルネス施設とされ、名称は、タイ語の表現で「ヴァナ(森)、ナヴァ(水)、ナラ(人)」をうまく組み合わせたそうです。

バギーを呼んで移動するほどの広大な敷地では、土の地面に竹筒が埋め込んであるのをよく見かけました。これは、地面に降った雨水が効率的にはけるように工夫されたもので、環境との共生を目的とするホテルが2023年に部分開業するまでに数年をかけて構想が練られた仕掛けの一つなんだそうです。ホテルで出た生ごみは堆肥化されて敷地内のハーブ園などに使われ、設置している養蜂箱でハチミツが採れれば朝食に提供するそうです。このホテルは、タイ国政府観光庁が持続可能な観光のために設けた認証基準「STAR」を獲得しています。

自己を〝ととのえる〟ムーブメントも世界的に起きています。ホテル自慢の50㍍プール「オリンピックプール」は、合宿に使うナショナルチームもあるそうです。別料金にはなりますが、サウナや水風呂、岩盤浴などの施設も充実しています。マネジャーの1人、アレックス・ミードさんは「ホテル敷地内に5カ所ある屋外の〝エコジム〟では楽しみながら体を鍛えられます。客室のカーペットや鏡の枠などもリサイクルされたもの。ぜひ滞在して持続可能性について考えてほしいです」と話していました。
=つづく
クラビ タイの人気ビーチリゾート地、クラビには石灰岩の奇岩とジャングルに囲まれた自然豊かな秘境ビーチがあります。洞窟、滝、温泉、マングローブなどを生かしたアクティビティが豊富で、エメラルドグリーンの海が広がり、船で島々に渡り、シュノーケリングなども楽しめます。高級ホテルからお手頃価格の宿までそろい、予算に合わせて選べます。まだ日本人が少ない〝東南アジアの穴場〟で、バンコクから飛行機で1時間半〜2時間なので、シティ&リゾートの旅も可能です。

行き方 福岡空港からタイへの直行便は、バンコク(スワンナプーム国際空港・ドンムアン国際空港)への路線があり、タイ国際航空、ベトジェット タイランド、タイ・エアアジアの3社が運航しています。バンコクを経由し、クラビだけでなくチェンマイやプーケットなどタイ各地へ乗り継ぎができます。
