食品には寄生虫がいることがあり、その寄生虫を生きたまま食品と一緒に食べると、激しい痛みや嘔吐などの症状を起こす場合があります。
食中毒の原因となる寄生虫は、どのような食品に潜んでいるのでしょうか。そして症状は? 予防のポイントも併せて紹介します。

食中毒の原因はアニサキスが多い!
福岡市でも寄生虫による食中毒が毎年多く発生しています。2024(令和6)年に福岡市内で発生した食中毒は37件で、そのうち19件が寄生虫による食中毒でした。特に「アニサキス」と呼ばれる寄生虫が主な原因となっています。

アニサキスは何に寄生している? 食中毒の症状は?
アニサキスは長さ約2~3cm、幅は約0.5~1mmで白い糸のような見た目をしています。魚介類の内臓に寄生していて、その魚介類が死亡して時間が経過すると内臓から筋肉(身)に移動します。身に移動したアニサキスを刺身など加熱しないまま食べると胃や腸の痛み、吐き気の症状が出ます。
◎アニサキスによる食中毒(胃アニサキス症・腸アニサキス症)
【原因食品】
サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ヒラメ、マグロ、イカの刺身など
【胃アニサキス症】
食べてから12時間以内に激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐を生じる
【腸アニサキス症】
食べてから十数時間以降に激しい下腹部痛を生じる

アニサキスはよく見て取り除こう!冷凍や加熱でも予防できる
アニサキスは目に見える大きさなので、魚の身をよく見れば取り除くことができます。また、冷凍や加熱で死滅させれば食中毒を引き起こすことはありません。具体的な予防のポイントをまとめました。
◎アニサキス症予防のポイント
・新鮮な魚を選び、速やかに内臓を除去する
・魚の内臓を生で食べない
・目視で確認して除去する
・冷凍(-20℃以下で24時間以上)されたものを選ぶ
・加熱(70℃以上、または60℃で1分以上)する
「よく噛めば大丈夫。」、「酢漬け、塩漬け、しょうゆやわさびをつければ大丈夫。」と言われることがありますが、これらは誤りです。
アニサキスは表面がなめらかで丈夫なため噛み切ることは難しく、酸の強い胃の中でも生きられるアニサキスは調理に用いる程度の調味料では死滅することはありません。

【コラム】寄生虫は他にも。身近な食品に潜んでいます
アニサキスの他に、馬に寄生する「サルコシスティス・フェアリー」、ヒラメに寄生する「クドア・セプテンプンクタータ」、サケやマスに寄生する「日本海裂頭条虫」(サナダムシ)など、身近な食品に潜む寄生虫が引き起こす食中毒もあります。

●問い合わせ
福岡市 保健医療局 保健所 地域衛生部 食品安全推進課
Email: shokuhinanzen.PHB@city.fukuoka.lg.jp
提供:福岡市保健医療局
